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<信毎の本> 奔僧記 知らぬが仏じゃいられない!

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 松本市浅間温泉の名物和尚、神宮寺住職の高橋卓志さんが、地元で発行されている松本平タウン情報に、10年間にわたって書いたコラムをまとめたのがこの本です。
 高橋さんは、自らの寺を「コンビニ・テンプル」と名づけ、「お寺の山門は生きている人のためにこそいつも開けている。当寺は人の世のありとあらゆる苦しみ悩みにこたえる人材とノウハウを取りそろえております」と胸を張る。住職ならぬ「飛び職」、医師団ならぬ「国境なき坊主」を自称して東奔西走してきた。それも、定型化した葬式仏教のありように安住していられず、彼岸此岸(しがん)の見捨て置けないことに、「知らぬが仏」を決め込んではいられなかったからだ。
 ウクライナ・チェルノブイリでの医療支援、タイのエイズ患者支援、ホスピス・終末医療・死の準備教育のネットワークづくり、10年に及んだ市民講座「尋常浅間学校」…。多彩な活動の根幹にはいつも、高橋さんの仏教者であり続けることへの自問と、「お寺ルネサンス」への使命感があった。時にわが身を切り刻むかのような感もあるお寺と伝統仏教に対する当事者の現状認識が、無類の毒舌とユーモアに包まれて吐露されている。
 表紙絵は山福朱実さんの版画。A5判、244ページ、定価1680円(税込み)。お求めは、書店、信毎販売店へ。

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