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「おおらかな昭和」人形に 来年、石井美千子さん作品展

 来年の信濃毎日新聞創刊140周年を記念して、東京都青梅市の人形作家石井美千子さん(59)の人形展「昭和のこどもたち」(信濃毎日新聞社、水野美術館など主催)が来年4〜6月、長野市の水野美術館で開かれる。21日、石井さんが同市の信毎本社を訪れ、展示会への期待や作品に込めた思いなどを話した。
 石井さんは昭和30年代を舞台に子どもや家族の人形を作り続けている。「かつての日本人の心はおおらかだった。そうした時代を思い返すきっかけになればいい」と述べた。取っ組み合いのけんかをする子どもたちや、たらいと洗濯板で衣類を洗う母と傍らにいる娘といった従来の作品のほか、陸に向け木造舟を引くたくましい海女たちを表現した新作なども展示する。
 石井さんは新作について「裸一貫で戦後復興を成し遂げた人たちの気力、体力、健康な心を伝えたい」と説明。昨年、東日本大震災の津波被害を受けた漁村の人々にも思いを寄せ、「作品を通じて、言葉ではなく、本能で『生きる』ということを喚起できれば」と話した。
 石井さんは福井市出身。生後間もなく母と死別し、養護施設で育った。若い頃に出産、子育て、夫の祖母の介護、自身の結核発症を体験。「人生で起きたこと全てがオリジナル作品を生み出す原動力になっている」といい、二十数年前から「昭和のこどもたち」を題材に人形作りに打ち込んでいる。
 開催は来年4月27日〜6月2日。問い合わせは信毎事業部(電話026・236・3399)へ。

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写真説明:来年の人形展でも飾る石井さんの作品「とっくみあい」(左)。人形制作への思いを語る石井美千子さん

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