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2011年12月 1日〔編集局〕
信濃毎日新聞は13日から、林真理子さんの時代小説「正妻慶喜と美賀子」と、北佐久郡軽井沢町在住の藤田宜永さんの現代小説「女系の総督」を朝刊に連載します。「かんかん橋を渡ったら」に続き「親鸞激動篇」も11日に完結となります。
藤田さんの「女系の総督」は、もうじき還暦を迎える出版社の役員が主人公で、同居しているのが子供から猫まで女という環境―。彼女たちが織りなす小さくも濃いドラマの中で孤軍奮闘、右往左往しながら、自分の問題も抱えつつ生きている男の話です。挿絵は北村裕花さんです。
藤田さんは1950年福井県生まれ。パリ在住7年、航空会社にも勤務して帰国後、文筆活動に。94年「鋼鉄の騎士」で日本推理作家協会賞、99年「求愛」で島清恋愛文学賞を受け、2001年「愛の領分」で直木賞を受賞しています。
藤田さんのことば 男の視点で書いている、女たちの物語というのが特徴です。ガールズトークを書くことに苦労させられそうです。担当編集者ふたり、それに挿絵画家も女性ですから、彼女たちを喜ばせることができれば成功でしょう(笑)。
林さんの「正妻慶喜と美賀子」は、公家の娘として生まれて“最後の将軍”徳川慶喜に嫁ぎ、激変する世を生き抜いた女性、美賀子を描きます。挿絵は山口はるみさんが担当します。
林さんは1954年山梨県生まれ。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞を受け、95年「白蓮れんれん」で柴田錬三郎賞、98年に「みんなの秘密」で吉川英治文学賞を受賞。直木賞、吉川英治文学賞など数々の文学賞の選考委員も務めています。
林さんのことば 実は、公家社会のことは、以前から書きたくてたまらなかったテーマである。新聞の連載小説は作家の檜(ひのき)舞台であるから自然と力が入る。毎日のこのリズムが私に合っているようで、自分でも好きな小説、お誉(ほ)めいただく小説はたいてい新聞小説から生まれている。この「正妻」を私の代表作にしたい。