信濃毎日新聞ニュース特集「2007県議選」
選挙戦に候補者サイト利用望む声 告示後は更新できず
2007年4月 4日掲載

 県議選各候補者のウェブサイトが3月30日の告示から更新されていない。インターネット上の文字や画像も公職選挙法の「文書図画」にあたり、選挙中の更新は認められないとの解釈が一般的なためだ。パソコンなどの普及で、市民と政治家をつなぐ「チャンネル」として一定の役割を果たしているネット。もっと直接候補の情報を知りたいとの有権者の声がある一方、ネット上での選挙運動の全面的な解禁には慎重な意見もある。
 南信地方の元職は、無党派層にアピールしようと、年明けにホームページを開設。本人が政治姿勢やプロフィルなどを書き込んだ。だが、陣営は「選挙中は更新せず遊説を優先している」。
 議会活動を報告する北信地方の現職のサイト。閲覧した若い市民からメールが届くこともあった。後援会幹部の男性(66)は「電話や手紙だけで政策を伝えたり、要望を聞いたりする時代でない」とする。
 公選法は選挙運動で使える「文書図画」をビラやはがきなどに限定。県選挙管理委員会によると、県議選で候補が頒布できるのははがき8000枚。掲示用ポスターや選挙公報もあるが、インターネットは想定しておらず「告示後のサイト更新はできない」見解だ。
 また、インターネット上だと、他人の「なりすまし」が可能なことや、印刷費がかかるビラと異なり電子メールの送信は無制限になりかねない、などの問題も指摘されている。複数の政党で解禁を求める動きがあるが、総務省は「現段階で法改正の具体的な動きはない」としている。
 ただ、有権者が電子メールを送ることは選挙中も制限されない。告示前に「(メールで)応援メッセージは受け取ることができます」とサイトを更新した新人陣営や、選挙公報にサイトのアドレスを載せた候補もいる。
 「農村部は利用者が少なくサイトは不要」「生の声を伝えようとふだんから歩いている」との声もある。
 一方で、インターネットに慣れている有権者は、ネットで選挙運動が制限されている現状に不満気味だ。長野市の40代主婦は「関心を引き、投票率アップのためにも解禁すべきだ」と言う。
 須坂市の会社員土屋芳樹さん(26)も選挙での訴えをネットで閲覧できれば便利と思う。その上で「ネットは正しい情報だけが流れるわけではない。全面解禁されれば、見極める冷静さも有権者に要る」と話した。


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