信濃毎日新聞ニュース特集「2007県議選」
公共事業関係企業、影潜める支援活動 「自分の判断で」
2007年4月 3日掲載

 8日投開票の県議選で、建設業など公共事業にかかわる企業が集会といった表面的な場で支援する動きが影を潜めている。企業としては公共事業が増えてほしいと望むが、「締め付け」との表現もされた業界ぐるみでの選挙には嫌気がさしている人も少なくない。県の入札制度改革で「県議の口利きは必要なくなった」と話す関係者もおり、「投票はそれぞれの判断」との声が目立つ。

 「静かなもんだ」。南信地方の建設会社会長は県議選の雰囲気をそう感じている。会社の近くを選挙カーが時々通るが、関心は高まらない。

 かつて選挙といえば、業界団体で支持を決めた候補に投票。演説会には「動員」で出掛けた。

 しかし、2000年の知事選違反事件や、全国各地の官製談合事件などで、選挙の在り方や、政治と業界の距離が問われたと感じる。今県議選では業界団体から要請はなく、自分の判断で投票するつもりだ。「望みは、安全を削らずに食べていけるような時代の到来」と話す。

 県の2007年度当初予算で、公共事業と県単独事業の合計額は前年度当初比8・9%増。公共事業を減らしてきた前県政からの転換を印象づけた。

 「必要な事業が分かってもらえるようになった」と受け止める中信地方の建設会社社長は、県議に地域のパイプ役を期待。ある陣営の役員も引き受けている。ただ、集会への参加を呼び掛けても、参加は年配者が主で、集まりも悪い。「若い人を中心に自分の判断で投票するという雰囲気が加速している」

 北信地方の土木会社社長はバブル期のような好況再来の期待はせず、「今は競争力を付けて生き残るだけ」と必死だ。業界団体関係者からある候補への応援を求められたが、「昔のように他社と足並みはそろえない」と応じなかった。同地方の測量設計会社社員は、県の一般競争入札導入で、「いつでも入札に参加でき、県議の口利きは必要なくなった」と断言。特定候補に取り入ろうと思っていない。

 県が01年度から競争入札を導入し、建設業者も参入する森林整備事業。森林組合にとって厳しい環境となっているが、ある組合の幹部は「支持候補はいるが、組合員には押しつけない。締め付けは反発が出る。投票はそれぞれの判断に任せる」と話す。

 政府は今年、地球温暖化防止などに国民運動として「美しい森づくり」推進を決定している。一方で県議選では森林整備の論戦を聞かない。この幹部は「森林をどうするのか。候補が示してくれない」と、歯がゆい思いも口にした。


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