信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

前回大会が縁で結婚、間近で力走に声援 小林選手の妻
2006年3月14日掲載
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 トリノ冬季パラリンピックのノルディックスキー会場で、テレビ番組で見たのがきっかけで小林稔選手(35)=松本盲学校・松本市=と結婚した妻かおりさんが声援を送っている。かおりさんが小林選手のレースを実際に見るのは初めて。夫の教え子たちから託された寄せ書きを手に、「自分の力を出し切ってくれている」と目を細めた。小林選手は14日、自身の出る最終種目、バイアスロン7・5キロに挑む。
 自宅での小林選手は、仕事か射撃(ビーム銃)の練習に時間を割く。「睡眠時間が足りているか、いつも心配だった」とかおりさん。松本盲学校の体育館で射撃練習をする時には、迎えに行く。冬場、底冷えのする体育館でかおりさんを待たせ、「あと1回」「もう1回」と練習を続けた。
 かおりさんが小林選手を知ったのは4年前の米ソルトレークシティー大会。当時、エステティックサロンを開き、札幌市に住んでいた。いろいろな人に会うことは自分の仕事に役立つと考え、同大会についての番組で見た小林選手に会うため松本盲学校を訪ねた。
 障害があることはその人にとって重く、深刻なことだろうという漠然とした思いは一変した。前向きで明るい小林選手と松本、札幌で交際を重ね、04年春に結婚した。
 結婚後も合宿や遠征が続き、一緒に過ごす日はそう多くない。寂しさもあるが、選手生活の厳しさも分かってきた。かおりさんは「限られた時間の中でやれるだけのことをやって、頑張っている」と、力走する小林選手を見つめる。
 今大会の小林選手はバイアスロン12・5キロ、クロスカントリー5キロフリーとも11位。残るバイアスロン7・5キロで「一つでも順位を上げられるように応援します」とかおりさんも最後の頑張りを口にした。
(プラジェラート=井上典子)
【写真説明】松本盲学校の生徒たちの寄せ書きを持って駆けつけたかおりさん(中央)と稔選手の両親=11日、プラジェラート距離競技場(井上典子撮影)


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