信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

日本無得点 涙のドロー スレッジホッケー
2006年3月15日掲載

 【トリノ14日=井上典子】「日本のプレーができなかった」。いつも明るく強気な言葉を口にするFW上原大祐(長野サンダーバーズ・北佐久郡軽井沢町)の目から大粒の涙がこぼれた。引き分けでも準決勝へ進めるドイツの堅い守りを崩せず、日本は無得点。引き分けるのが精いっぱいだった。
 第2戦の米国戦に敗れた後、練習で「初心に戻って」(中北浩仁監督)攻撃パターンを確認。逆転勝ちしたノルウェー遠征のビデオも見てイメージを取り戻そうとした。だが、この日もリンクを広く使い両サイドからのパスで得点を狙う得意の形がなかなかつくれず、初戦のスウェーデン戦で3得点した上原はシュートチャンスをつかむことができなかった。
 準決勝進出を意識してか、ドイツが引きぎみだったとはいえ、守備ではいい場面が目立った。第1ピリオドから、相手がパックを持ったところを素早くチェック。GK永瀬充(北海道)は再三好セーブを見せた。
 「試合前、選手には『まず自分たちのプレーをしよう』と徹底した」と中北監督。「4年前に比べ、選手の技術は格段に上がった。戦術も頭に入っている。それでも力を出せないのは、ここだ」と胸の辺りをたたいた。
 ここまで2連勝のドイツに引き分けたものの、準決勝進出には厳しい状況。永瀬は「点が取れなければ、試合には勝てない。どこが悪かったのか、自分が知りたい」とやり切れない表情を浮かべた。


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