信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

データ解析 戦術利用 ノルディック 要所で指示
2006年3月14日掲載
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 計算が複雑なライバルとの時間差を即座に算出し、各地点で選手に指示を出す。体の動きを解析し、選手の調整ポイントをはっきりさせる―。トリノ冬季パラリンピックのノルディックスキー日本チームは、パソコンなども使いながらチームを挙げて戦っている。
 11日のバイアスロンでは、射撃を終えた選手が通過するたびに、コース脇で渡辺孝次コーチ(飯島中教・伊那市)がパソコンを操作。タイムに、障害の程度に応じてあらかじめ決まっている係数を掛けて計算。無線で入る射撃成績を入力し、その場で他の選手とのタイム差を出した。
 障害者スキーのレースは、係数計算があるため、途中経過が分かりにくい。他の選手との差をいち早くつかむことが、レースを組み立てる上で有効だ。
 渡辺コーチは荒井秀樹監督(日立システム・東京)に情報を送り、同監督が要所に配置したスタッフを通じ選手に指示を出す仕組み。優勝した小林深雪(日立システム・小谷村出身)には、2位との差が3分近く開いた地点で、同監督から「4回目の射撃は(5発中)4発外してもいける。集中して、落ち着いて走れ」という指示が飛んだ。
 日本チームは今大会に向け、ストック操作やスキー板への体の乗せ方など選手の動作を解析、海外トップ選手と数値で比較するシステムを導入。小林については、ロシア選手を参考に、スキー板に体重をかける時のひざの入れ方を研究。射撃動作の時間短縮にもつなげた。
 「感覚で指導していた部分が数値で分析でき、より具体的に伝えることができるようになった」と荒井監督。機器も利用し、チームを挙げた取り組みは、障害者スキーのトップレベルでは当たり前になってきている。
 (プラジェラート=井上典子)
【写真説明】通過タイムを計り、ライバルとの差を計算する渡辺コーチ(左)ら日本チームスタッフ=プラジェラート距離競技場


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