信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

小林深、圧勝ゴール 「長野と違う」冷静V奪回
2006年3月12日掲載

 【セストリエール(イタリア)11日共同】トリノ冬季パラリンピックは10日の開会式に続き、第2日の11日は当地などで競技を開始。日本はノルディックスキー・バイアスロン女子12.5キロの視覚障害で小林深雪(日立システム・北安曇郡小谷村出身)が金メダルを獲得し、好スタートを切った。3度目の出場となる小林は、1998年長野大会では7.5キロで優勝したが、前回ソルトレークシティー大会では6位が最高だった。
 女子立位に出場した日本選手団最年少16歳の太田渉子(山形)が銅メダル。男子視覚障害では小林稔(松本盲学校)が11位、同座位では長田弘幸(北海道)が13位。同立位の伝田寛(長野市役所)が17位となった。
 アルペンスキーの滑降(立位)では、男子の東海将彦(東京)が7位になったのが日本勢の最高で、女子の佐々木如美(秋田)は最下位の13位だった。
 アイススレッジホッケーは1次リーグが始まり、日本の初戦はスウェーデン戦。
 大会は10日、開会式がトリノのコムナーレ競技場で行われ、日本はノルディックスキー男子立位の新田佳浩(東京)を旗手に、約60人の選手、役員が入場行進した。
   ◇
 ゴールした瞬間、小林はその場に倒れ込んだ。ノルディックスキーチームの荒井監督が抱きついて、「一番だよ、深雪」と叫ぶ。小林の目から涙があふれた。
 2位に3分半近い差をつけた圧勝だった。射撃は3回目までミスなし。4回目に1発を外したが、影響はなかった。滑っても呼吸をしながらリズムを取り、最後までペースを崩さなかった。
 8年前の長野大会では7・5キロで力強い滑りを見せ、金メダルを獲得したが、今回はベテランらしい落ち着いた戦い方が際立った。
 同じ金メダルでも、小林は「長野のときとは違う」と言う。スキーだけでなく、環境も変わった。視覚障害の小林は2年前から実業団チームの日立システムアンドサービスに所属。8年前では考えられない恵まれた環境で競技に打ち込んできた。
 この日も日本から多くの人が応援に駆けつけた。「自分の力とわたしを支えてくれるみなさんの力が合わさって金メダルを取れた」。涙顔を笑顔に戻し、仲間に手を振った。


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