信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

激しいメダル争いへ アルペンは金53個→24個
2006年3月11日掲載

 10日(日本時間11日午前2時)開幕のトリノ冬季パラリンピックでは、これまでにない激しいメダル争いが展開される。障害の部位や程度で細分化された従来のスキーの種目区分がなくなり、代わりに(1)立って滑る「立位」(2)チェアスキーで滑る「座位」(3)「視覚障害」―の3カテゴリー制を採用、メダルの数が減るからだ。
 障害者スポーツの競技性を高めるという、国際パラリンピック委員会(IPC)の意向が反映された形で、競技では不公平が生じないよう、実測タイムに障害の程度に応じた「係数」を掛ける。
 アルペンでは従来、立位が12クラス、座位が5クラス、視覚障害が3クラスに分かれていたが、今大会から各1クラスに統合された。金メダルは前回の53個から24個に減る。女子座位の大日方邦子選手は「戦いは厳しくなるが、メダル一つの価値が上がるのはいいこと」と受け入れている。
 しかし一方で、競争の激化に懸念の声もある。今大会最多の56選手を率いるトリグ・メレン米国選手団長は「メダル争いばかりに注目すると、スポーツの本質を忘れる。つまりドーピング(薬物使用)だ」と勝利至上主義に警鐘を鳴らす。
 前回のソルトレークシティー大会はドーピング違反でメダルをはく奪される選手が出た。今大会は280検体のドーピング検査が予定されている。ただ、障害者スポーツでは治療薬を服用して競技を行う選手も多く、検査での見極めが難しい。
 3カテゴリー制への移行について、メレン団長は「選手自身が自覚を高める必要があるだろう」と話している。


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