信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

W杯障害者アルペン志賀 入賞小池選手 精神力でトリノ切符
2006年2月 2日掲載
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 下高井郡山ノ内町で1日まで開いた障害者アルペンスキーワールドカップ(W杯)志賀高原大会で、岡谷市出身の日体大4年、小池岳太選手(23)が2戦で入賞した。交通事故で左腕が動かなくなってから3年。県内でただ1人、今季本格的に全日本チームに加わった小池選手は「挑戦」を掲げて競技歴が浅い不利を克服、3月のイタリア・トリノ冬季パラリンピック出場に希望をつないだ。
 小池選手は今大会で三戦に出場。1日に行った回転は途中棄権だったが、1月30、31日の大回転立位で、8位、7位に入った。
 大学1年の10月、バイクで東京都内の自宅からアルバイト先に向かう途中、対向車と衝突し、左上半身を車に挟まれた。「まひした左腕は動く可能性がない」と医師から告げられ、「ショックで一晩中泣いた」という。
 事故後、日本障害者スキー連盟常任理事でもある野村一路・日体大助教授に、競技を始めるよう勧められた。下諏訪向陽高時代からサッカーを続け、体育教師を志していた小池選手は「先生に『世界を目指してみないか』と言われた時、これしかないと思った」と、再び挑戦を始めた。
 けがをする前に楽しんでいたスキーとは、体の使い方やバランス感覚がまったく違った。冬は、同郡野沢温泉村で居候をさせてもらいながら基本からやり直した。昨季のジャパン・パラリンピックで2種目で3位になり全日本チームの一員に。
 強豪選手の多くは幼いころ障害を負い、競技経験が長い。周囲は「スキーをしたい気持ちが経験不足を補ってきた」(伴一彦・全日本チーフコーチ)と、小池選手の精神的な強さを評価する。体力強化のため、けがをした後も大学のサッカー部で練習を続けてきた。
 トリノパラリンピック代表に4人を追加する最終選考会を兼ねたジャパン・パラリンピックは3日、北安曇郡白馬村で始まる。「失うものは何もない。悔いのない滑りをすれば、絶対に行けると信じている」。小池選手は自らを奮い立たせるように力強く話した。
【写真説明】チームメートの滑りを見守る小池岳太選手=1日、下高井郡山ノ内町の西館山スキー場


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