前日は1回目でコースアウトした森井が3位に入った。「昨日の失敗があったので1本目は思い切りに欠けた。3位では納得いかない」。トリノ冬季パラリンピックの日本のエースは、より高いところに目を向けた。
前日は前の選手がスキーでえぐった部分に引っ掛かった。2日目の1回目はスピードを抑えてスキーコントロールを重視。2回目は本来の攻めの滑りに転じ、「反省点もあるが、トップスピードに持っていけた」。
体調は万全でない。直前の韓国大会は急性腸炎による42度の高熱で出場予定の5レース中4レースを棄権した。しかし、38度で出場した最終日のスーパー大回転で3位に。「夏場の栄養管理とトレーニングで力がついた。以前の自分なら、あの状態ではあきらめていた」。体調が悪くても上位に食い込んだことが自信になった。
高校1年だった1997年に交通事故で脊椎(せきつい)を損傷。入院中、テレビで98年長野冬季パラリンピックを見たのをきっかけに競技を始めた。冬場は小県郡真田町内のホテルに滞在し、菅平高原で練習している。
2回目の出場となるパラリンピックは、コース状況を把握し、トップスピードに乗れるライン取りを描く「目の勝負」がポイントとみて、不本意に終わったソルトレーク大会の雪辱を期す。
【写真説明】大回転男子座位で3位の森井大輝(東京)