信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

アルペン・三沢拓 初挑戦18歳「負けない」
2006年1月 1日掲載
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 「拓(ひらく)」という名前の通り、自分で道を切り開き、目標に向かって真っすぐに進んできた18歳。三沢拓=東筑摩郡波田町=は昨年2月のワールドカップ(W杯)フェンデルス大会(オーストリア)の大回転・立位で4位入賞。「世界のトップで戦えるまでになった。今シーズンはトリノの表彰台を目指す」と、自信を口にした。
 運動能力の高さ、積極的にポールを攻める気持ちの強さが買われて、波田中3年の時に日本代表チーム入り。卒業後はニュージーランドの高校に留学し、夏はニュージーランドで、冬は日本で滑り込んできた。昨年11月末に帰国し、この4月、順天堂大に進学する。
 ニュージーランドでトレーニング中に右手首を骨折し、昨夏はほとんどコースに立てなかった。筋力アップに専念せざるを得なかったが、「脚の筋力がけがをする前より上がり、筋トレの大切さがよく分かった。トリノまでしっかり滑り込んでいけば大丈夫」と焦りはない。
 寄せ書きなどで名前にひと言添える際には、「負けない」と書くことが多い。試合だけでなく、普段の生活すべてで「負けない」という意味だという。「何であれ、自分にはできないと思わないことかな」。6歳の時、交通事故で左脚を失った。障害のあるなしを考えずに、みんなと同じことをしたい。実際、やってきた自負もある。
 家族とくつろぐ間もなく、海外遠征、国内合宿が続く。合間を縫って、信州野麦峠スキー場(松本市)で滑る予定だ。同スキー場は、小学校5年の時、スキー学校のコーチに声をかけられ、競技を始めた原点。「コーチや仲間と出会わなかったら、今の自分はない」。トリノで表彰台に立って、支えてくれる人たちへの感謝を表すつもりだ。
【写真説明】ニュージーランド留学から帰国、初出場のパラリンピックで表彰台を目指す三沢拓=軽井沢町の軽井沢プリンスホテルスキー場


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