信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

主力担う県勢…闘志 用具も進化、選手支える
2006年1月 1日掲載
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 用具の良しあしがレースの勝敗を左右する。アルペンスキーのチェアスキーもそうした一つだ。下肢障害の選手は1本のスキー板に支柱でシートを固定したチェアスキーを操る。日本チームは、選手のひざに代わって衝撃吸収機能を果たすチェアスキー「トリノモデル」とともに、トリノ大会に臨む。
 1998年長野大会向けに開発した「長野モデル」は、ショックアブソーバーを備えたサスペンションで、スキー板から伝わる衝撃を和らげた。ただ、同モデルの動きは上下方向だけ。2002年の「ソルトレークモデル」は、4本の支柱とショックアブソーバーの構造を工夫し、前後の動きを加えた。
 トリノモデルはさらに進化した。最大の特徴は、雪面をとらえる機能のアップだ。サスペンションを改良し、沈み込む能力を高め、伸びる力を抑制。強い衝撃を受けてもチェアスキーが跳ね上がりにくくした。
 この結果、スピードを落とさずにターンできるようになり、旗門を攻める角度をより直線的にとれるようになった。長野、ソルトレークと2大会連続でメダルを獲得している大日方邦子(33)=NHK・東京=は「ひざの感覚に近い衝撃の吸収が可能。満点に近いスキー」と評価する。
 長野大会のチェアスキーで、日本は金2個を含む5個のメダルを獲得したが、ソルトレーク大会では開発途上だったチェアスキーへの不慣れから大日方の銅メダル2個にとどまった。トリノは巻き返しを図る舞台。開発に携わった横浜市総合リハビリテーションセンターの宮本晃氏(34)は「かなり充実した“マシン”ができた」と自信を見せた。


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