信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
田中氏と村井氏 知事選立候補予定の2氏対論
2006年7月18日掲載

 信濃毎日新聞社は17日、20日告示の知事選を前に、事実上の対決構図となっている現職の田中康夫氏(50)と、新人で前自民党衆院議員の村井仁氏(69)の対論を松本市内のホテルで行った。県の財政運営をめぐり「未来の子どもたちへ借金を先送りすべきではない」と健全化への取り組みや実績を強調する田中氏に対し、村井氏は「(田中県政は)借金を返すのに熱心で、道路整備などの資産形成をちゅうちょしすぎている」と指摘するなど、両氏は政策や県政運営の手法、県の将来像をめぐり、3時間余にわたって論戦を交わした。
 自治体の債務(借金)については、村井氏が「(有効に使うことで)県の本来持っている強い活力を取り戻せる」と主張したのに対し、田中氏は「借金を持っても問題ないというのでは油断や甘えが出る」と反論した。
 県営ダムを中止した浅川(長野市―上高井郡小布施町)の治水に関しては、田中氏が「ダムを設けても下流部の水害は解消できない」とし、河川改修や遊水地の建設で治水を進める県の計画の妥当性を強調。村井氏は「脱ダムにこだわり、無理な話を積み重ねてしまった」と批判し、「可能な限り県土のメンテナンス(手入れ)はしていかなければ」と訴えた。
 県の将来のあり方について村井氏は「中間自治体(都道府県)はいらない時代になる」とし、道州制導入も見据え「時代に合った基礎的自治体(市町村)をつくることが大切だ」と強調。市町村への権限、財源移譲を進める考えを示した。
 一方、田中氏は「道州制というが、長野県が消滅したり、分割されたりということは誰も望んでいない」と主張。「多くの県民は近隣(の県)から信頼され、長野県を基軸とした緩やかな連邦制が築かれることを望んでいる」と語った。
 知事選ではほかに、新人でコンサルタント会社経営の峯正一氏(44)が立候補の意思を表明している。


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