信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
「地元」松本 対決熱く 田中氏と村井氏の両陣営
2006年7月18日掲載

 20日に告示が迫った知事選で、現職の田中康夫氏(50)と、新人の村井仁氏(69)の両陣営が、松本地域でどんな戦いを見せるのか、注目が集まっている。共に松本深志高校の卒業生。松本市内に後援会事務所がある田中氏は、2002年の前回選で同市での得票率が7割を超え、全県(64・28%)を大きく上回った。一方、村井氏は自民党衆院議員時代、同市を含む長野2区を選挙区とし、衆院時代の支持者が「再結集」に向け動いている。勝手連や市民グループなどの活動も双方で活発化しており、「松本対決」に向けたムードは徐々に高まりを見せている。
<田中氏 勝手連「独自ペースで」>
 田中氏は17日、知事選に向け設立した政治団体「しなやかな信州をはぐくむ県民の会」の松本市内の事務所で約1時間、中南信地方の支持者と打ち合わせをした。
 同氏は告示日、塩尻市の県林業総合センター内にある知事分室で公務を行った後、「第一声」を行う予定。この日の会合では、塩尻市の勝手連に場所選びを任せることを確認した。掲示板へのポスター張りも主に勝手連が担当する。
 松本市を中心とする地域は、県内でも特に同氏を支える勝手連が活発だ。今知事選でも、田中氏に立候補を促す声明を6月に出した「信州勝手連ネットワーク」に名を連ねる16団体のうち、松本市や塩尻市、安曇野市など中信が5団体を占める。
 衆院2区を基盤とした村井氏の立候補表明に対し、田中氏の後援会「しなやかな信州をはぐくむ会」内には「村井さんは松本では相当強いだろう」(穂苅甲子男会長)と危機感もあるという。ただ、穂苅氏は「田中式の選挙をやるだけ」と割り切る。
 東筑摩郡波田町で田中氏支援の勝手連を取りまとめる小林巧・同町町議(55)は「従来の組織型選挙はもう通用しないし、われわれも嫌い」と話す。選挙戦ではポスター張りや選挙カーの誘導などを手掛け、知人に支持を呼び掛けるなど「あくまで自分たちのペースで戦う」と話した。
<村井氏 市民団体の役割重視>
 「私を知っている人だけを回っていても落選確実。この会合を重く受け止めている」
 村井氏は15日、松本市内で「新長野県政連絡協議会」(代表・永田恒治弁護士)の会合に参加し、構成する市民グループ幹部ら約30人と1時間半かけて懇談。「(当選しても)旧来の県政に復することはない」とする署名入りの「確約書」を提出するなど、改革に前向きな姿勢をアピールした。
 1986年から連続6期、松本平を含む選挙区を地盤に衆院議員を務めた村井氏。後援会幹事長だった相沢英伸氏(72)=松本市=は「(衆院選では)事務所が後援会に指示を出す仕組みが出来上がっていた」と話す。だが昨年の衆院選不出馬に伴い後援会は解散。事務所を閉じ、後援会名簿も処分したという。
 前回知事選、田中氏は衆院2区内で約18万票を獲得。永田氏は「従来型の組織選挙では知事選には勝てない」と強調する。知事選に向けた村井氏の後援会「輝く81の会」には、市民団体重視を訴える永田氏が副会長として加わる。
 告示まで間もない中、安曇野市などでは村井氏や県議らの支援者と、市民団体メンバーが入り交じって新しい支援組織ができたり、旧後援会関係者らが「勝手連」的に動き始めた。永田氏は「市民団体が積極的に市民に呼び掛けていくことが必要だ」と力を込めた。
<峯氏 各地で主張訴え>
 知事選に立候補を表明している新人でコンサルタント会社経営の峯正一氏(44)は、17日の取材に「松本を含め、各地の冷静な有権者に主張を訴えていきたい。中核都市だけでなく小さな地域も重視していく」と話している。


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