信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
民主 責任ある姿 示せるか 結束揺らぎかねず
2006年7月 3日掲載

 知事選への独自候補擁立も視野に「党として責任を持って対応する」としてきた民主党県連。だが、選挙構図が現新4氏で固まりつつある中、この日の拡大役員会では方針を決定できず、続く定期大会では、出席者から「対応を明確にすべきだ」との声が出された。県民に「責任ある対応」が示せるのか、政党としての正念場を迎えている。
 「村井さんもだめ。自主投票もだめ。どうすればいいんだよ」。大会前、非公開で開いた拡大役員会の終了後、出席者の1人はこう苦笑した。
 同党は2000年の前々回、02年の前回と自主投票を選択。政党としての存在感を発揮できないままに終わった。県連は1月に県政の評価と問題点を示す「検証」をまとめ、「主体的な対応」を目指してきた。
 しかし、自民党県連(小坂憲次会長)との政党間連携に向けた協議が進まない中、前同党衆院議員の村井仁氏(69)が無所属での出馬を表明。民主党県連内に擁立の動きがあった同党参院議員の羽田雄一郎氏(38)は不出馬を表明し、独自候補のめどは立っていない。
 党内には「現時点で、田中知事に最も勝てる可能性があるのは村井氏」との分析もある。ただ、役員会出席者の話を総合すると、同氏支持を主張する意見は少数。党内には村井氏がかつて羽田代表らと新生党、新進党結成に参加し、その後自民党に復党した経過に対する反発も根強い。
 これに対し、「県政の転換」を訴える民主党の支持団体、連合長野の近藤光会長はこの日の大会で「政党として責任ある方向を示すべきだ。連合は村井氏を推薦する運びになっている」と述べ、村井氏支持を要請。来賓の鷲沢正一長野市長も「民主党の力も(村井氏に)結集していただきたい」と呼び掛けた。
 一方で、現職の田中康夫氏(50)と民主党双方を支持するという出席者からは、「県民は田中県政に迷惑していない。民主党は市民政党なんだからもっと市民の声を聞くべきだ」といった意見も出た。対応次第では党の結束が揺らぎかねない状況にある。
 北沢俊美・県連幹事長は大会後の取材に「どうすれば党の責任が果たせるか、もう少し考えたい」と話すが、20日の告示まで残された時間は少ない。


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