信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
菅谷氏擁立なお求める声 本人は一貫して否定
2006年5月 2日掲載

 8月の知事選に絡んで1日、連合長野系の県中央メーデー集会に出席した鷲沢正一・長野市長が、あいさつの中で菅谷昭・松本市長に立候補を求めたことを明らかにした。これまで候補者の具体名に言及していなかった「輝く明日の長野県を考える会」代表世話人の近藤光・連合長野会長も同日、鷲沢氏の発言に引っ張られる形で菅谷氏に好意的な評価を示した。一貫して出馬を否定する菅谷氏だが、「可能性は消えていない」との見方も残っており、近藤氏が直接要請に乗り出すかどうかが焦点になってきた。
 1月に発足した近藤氏らの「考える会」は、元首長、経済団体代表らが名前を連ね、田中知事の対立候補擁立の軸になるとみられてきた。これまで「連休明けまでに候補者を絞り込みたい」としてきた近藤氏だが、この日は「(菅谷氏擁立に)会員の了解を得られる雰囲気がある」。有力な「候補」であることを認めた形だ。
 菅谷氏は62歳。千曲市出身で信大卒業後、医師として活動。旧ソ連・チェルノブイリ原発事故被災地での医療支援活動を経て、田中県政で県衛生部長を務め、04年3月の松本市長選で初当選した。
 「田中知事と違い、人の意見を聞くことができる人物」と近藤氏。市民運動の実績や知名度から「立場の異なる県民や団体がまとまって推せる」(県内首長)との見方もあり「考える会」でも早くから名前が浮上していた。
 だが、菅谷氏は記者会見などで「市政に全力で取り組む」と出馬の可能性を否定。1日も取材に対し、1期目の任期を約2年残している点に触れ「(市長として)支えてくれる人を裏切るようなことは、私の哲学でない」と述べた。
 こうした姿勢を受け「考える会」内にも「方向転換を探る時期」との声があり、近藤氏による正式な立候補要請も実現していない。「考える会」との連携を表明してきた鷲沢氏の発言も、足踏み状態を何とか動かしたい―との狙いがあったとみられている。名前が「表面化」したことで、菅谷氏擁立を求める声が広がりをみせるのか、あるいはこのまましぼんでいくのか―。関係者も見通せていないのが現状だ。


<前の記事 2006長野県知事選 トップ 次の記事>

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun