信濃毎日新聞ニュース特集

記録的大雪(2005-2006)

除雪業者も疲労増す 午前2時起床、昼食は重機で
2006年1月13日掲載

 記録的な大雪に見舞われている県北部で、県や市町村から除雪を請け負っている除雪業者の疲労が深まっている。昨年末から連日、出動基準を上回る降雪が続き、「ほとんど不休状態」と訴える業者も。さらに、災害救助法適用で高齢者世帯などの市町村の雪下ろし費用が軽減されたと言っても、「人手不足で作業が追いつかない」との声も出ている。
 「今冬はいくらかいてもきりがない」。12日午後4時、下水内郡栄村東部の山あいの県道で除雪用の重機を運転していた建設会社社員、斉藤文雄さん(64)=栄村切欠=はうんざりした様子で話した。
 この日は午前2時起床。重機のエンジンを暖め、同3時半に除雪を開始。いったん自宅で朝食を取った後は、昼食や休憩も車内で済ませた。
 降雪10センチが出動の基準。今冬は12月中旬からほぼ毎日、基準以上の降雪があり、12日までに休んだのは5日ほど。斉藤さんの担当区間は、千曲川支流沿いに集落が点在する新潟県境の3・5キロ区間。道路除雪のほか、山の急な斜面からの雪庇(せっぴ)も取り除く。
 除雪作業歴は約30年だが、「これほどの雪は初めて。急斜面からの雪崩が心配」。疲労が増しているが、作業中は気を抜けない。
 県は飯山市、栄村など県北部8市町村に災害救助法を適用。高齢者や障害者世帯の雪下ろしなどの費用を国、県が負担することになり、市町村の資金面での負担は軽減される。
 しかし、適用を受けている北安曇郡小谷村のある業者は、雪下ろしの人員確保に苦慮。1軒の雪下ろしに必要な人員は3人で「1日1軒が限度」といい、要請に追いつかない。「雪下ろしは危険が伴う高所作業。他地域の業者を呼んでもすぐにできるわけではない」とも。
 12日に県庁で開いた、同法適用市町村担当者も交えた県の豪雪対策本部の拡大会議。「除雪要員の疲労は限界だ」「ブルドーザーのオペレーターの支援策を考えてほしい」などの意見も相次いだ。
 県建設業協会は11日、道路の排除雪の支援のため、長野市などから除雪車や重機を応援派遣した。栄村を担当する同市のある業者は「日ごろ担当している上水内郡西部とは積雪量がぜんぜん違う」と驚き、「事故が起こらなければいいが」と送り出す社員を気に掛けた。


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