信濃毎日新聞ニュース特集

記録的大雪(2005-2006)

買い物へ、病院へ 国道一時開通決定「短すぎる」声も
2006年1月13日掲載

 孤立状態の下水内郡栄村秋山地区に通じる冬期間唯一の道路、国道405号が13日午後、5日ぶりに一時通れることになった。秋山地区の住民たちは「久しぶりに買い物に行ける」と安堵(あんど)した。だが、通れるのはわずか3時間。「用を足すには短すぎる」との声も。地区内では12日、陸上自衛隊松本駐屯地隊員の協力を得て除雪が続いたが、住民の多くは「早く国道の完全復旧を」と切望している。
 「ようやく年賀状が出せる」。夫と民宿を営む島田とも子さん(48)=小赤沢=は、取材の電話にホッとした声で話した。
 13日は、夫と栄中2年の長男、近所の高校生の4人で津南町に向かう予定だ。子どもたちは今後、同町や栄村内に宿泊して通学するという。とも子さんは「今後雪崩の危険もある。短時間だが、できるだけ用事を済ませたい」と言った。
 阿部美奈子さん(49)=小赤沢=は「冬は津南町の中心部まで片道1時間かかる。あすは仕事もあるし、天候を見て何とか行ければ…」。4日前、義父(77)が屋根の雪下ろしをしていて落ち、自分で歩けるものの体の痛みを訴えているといい「早く病院に連れて行ってあげたい」。
 関谷フクイさん(71)=屋敷=宅には、岐阜市から12月下旬に帰省した長女と1歳の孫が足止めされていた。孫は風邪気味といい「一時開通と聞いてひと安心した」と喜んだ。長女と孫を、親せきか知り合いの車に同乗させる予定で「2人には何とかあす中に、帰ってほしい」と話した。
 一方、「雪下ろしが忙しくて余裕がない」などとして13日は地区を出ない人もいる。


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