信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

新校設計一部に開示 大町の2高校統合で県教委
2012年3月17日掲載

 県教委は16日、大町市の大町高校、大町北高校を統合して2016年度開校を予定する「大町新校」の基本設計を、大北地方の教育関係者や両校同窓会などでつくる「地域とともに大町新校を考える懇話会」(24人)の委員に限り、開示した。当初は「公正な入札を妨げる」として難色を示したが、委員らの強い要請で実現。ただ、4月には実際の工事に使う実施設計の入札が迫り、設計変更は難しくなる。新校の青写真に地域の声はどれだけ反映されるのかと、関係者は心配している。
 開示は県北安曇地方事務所(大町市)で非公開で行い、委員15人が出席。再利用する既存校舎と、取り壊して新築する校舎の配置図や各建物の立面図、平面図を示し、3期に分けて整備する工程や入学年度ごとの使用校舎について職員が説明、委員の意見を聞いたという。
 開示後、「玄関デザインや吹き抜けのラウンジなど、思ったより工夫があってよかった」と話す委員もいたが、複数の委員は「大町にできる新校なのに、これまでの経過も含め、ほとんど県教委の考え通り」と危機感を漏らした。
 懇話会が現大町高校を新校地として取りまとめたのは10年5月の第8回会合。その1カ月後の第9回には、県教委は早くも大町高の校舎5棟のうち建築年の古い3棟を取り壊して新築し、1棟を大規模改修する案を説明。その後、1年余りのブランクを経て、昨年10月の第12回で新校の校舎配置案を示した。
 その席上でも、委員らは北アルプスが望める配置への配慮など多くの意見を出したが、県教委側は財政事情の厳しさを理由に「紋切り型の官僚答弁」(傍聴した市民)。そして基本設計がまとまる段階となったが、当初、県教委は委員にも基本設計を開示する予定はなかった。さらに一般市民は4月の実施設計入札まで非公開。実施設計が固まれば「設計変更は難しい」(県教委)だけに、「基本設計そのものがまずいなら、概要版を広く示し、関心を高めてもよかったのではないか」と委員の一人は言う。
 「16年度開校に間に合わさねばならないぎりぎりの日程で進めている。委員にも正反対の意見があり、反映させるのは簡単ではなかった」と県教委の担当者。21日にも委員向けに基本設計を開示するが、委員側は「一方通行の説明でなく、とにかく『議論の場』が欲しい」として、近く委員自身による意見集約の場を持ち、県教委に要望していくことを申し合わせた。


<前の記事 どうする高校改革 トップ 次の記事>

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun