信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

犀峡高の分校化決定 県教委、来年度実施へ
2010年7月 9日掲載

 県教委は8日、定例会を開き、来年度から犀峡高校(長野市信州新町)を篠ノ井高校(同市篠ノ井布施高田)の地域キャンパス(分校)にする実施計画を決めた。
 犀峡高には前期選抜で不登校経験者を対象とした「B推薦」枠があり、一定の生徒が入学している。矢崎和広教育委員長は分校化によってこの枠がなくなる可能性を踏まえ、受け皿として「北信地区への多部制・単位制高校設置について早急に具体的な検討を」と県教委側に求めた。
 犀峡高は2008年度から2年連続で全校生徒が160人を下回り、地元中学から卒業生の半数以上が入学することもないとして、再編対象となっていた。県教委はこの日、6月に同校の地元で開いた住民懇談会で分校化に反対する意見が相次いだことなどを説明。しかし教育委員から分校化への異論は出なかった。
 県教委高校教育課によると、犀峡高が08年度入試から設けたB推薦枠で入学する生徒は毎年約20人。不登校の生徒ら多様なニーズに応えられる多部制・単位制高校設置は高校再編計画に盛り込まれており、中信と南信は既に設置、東信も来年度設けられるため、矢崎委員長は「北信は進ちょく状況が遅れている」と指摘した。
<関係者、根強い反対論>
 県教委が、犀峡高校(長野市信州新町)を来年度から篠ノ井高校(同市篠ノ井布施高田)の分校とすることを決めた8日、犀峡高の関係者らからはあらためて反対の声が上がった。県教委側は、矢崎和広教育委員長が終了後の会見で「子どもたちのニーズに応えられるよう教員配置を含め充実した学校にするよう準備していくことを事務局に要望した」と強調した。
 この日の定例会で教育委員の一人は、地域が魅力ある学校づくりに携わる必要性を強調した上で、分校化に向け「学校が具体的にどうなっていくのか明確に提示しなければいけない」と発言。ほかの教育委員たちも、前期選抜で不登校経験者が対象の「B推薦」枠がある犀峡高の役割を指摘し、「受け入れる場所がなくなったら大変」と述べた。
 一方、傍聴していた旧信州新町議の宮尾光子さんは、教育委員長会見で発言。「一人の反対、慎重意見も出ず決定されたことに憤っている。分校では子どもたちが希望を持って学べるとは思えない」と訴えた。
 分校化決定を知った同高同窓会長の宮沢久雄さん(77)は、無念さをにじませながらも「やむを得ない」との受け止め。存続を求める署名活動をしていた同窓生の酒井隆一さん(64)は「分校化についての議案が9月県会に提出される。希望を持つのは難しいが、どうにかならないか考えたい」と話した。


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