信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

「4校の建学精神、継承を」 須高の会が県教委に提言
2008年10月15日掲載

 県教委が示していた須坂市内4高校の再編計画の骨子案に対して14日、提言書を提出した「須高地域の高校を考える会」。6月からという限られた時間の中、教育関係者や産業界などと30回余の議論を重ねて“地元の声”をまとめた。提言がどこまで生かされるかは、具体像づくりをする県教委の姿勢に掛かっている。

 「地域の声は重い。間違えのない方向で進めてほしい」。考える会の荒井清治会長(64)はこの日、A4判10ページ余の提言書を山口利幸・県教育長に渡して念押しした。「真摯(しんし)に受け止めて、検討させてほしい」と応じた教育長は、考える会の活動に対し「血のにじむような議論をしていただいたと思う。心から感謝したい」とねぎらった。

 考える会は6月初旬、地元県議を顧問に、須坂、須坂東、須坂商、須坂園芸の市内4高校の同窓会やPTA、商工団体ら50人近くで発足。骨子案で校数減が示された地域のうち「いち早く反応」(県教委)。小布施町、高山村にも呼び掛け、住民の立場から「新たな魅力ある高校」の在り方を探った。

 今月5日の総会まで県教委と地元住民、高教組、須高地方3市町村の教育委員会、製造業の経営者、須坂商議所などと懇談。4校の1年生約760人にアンケートをした。多部制単位制や総合学科を知ろうと、松本筑摩、中野立志館などの高校を視察。須坂市教委に協力を求め、市教委が独自に集めた高校再編計画に関する資料や市内中学生の進学動向データの提供も受けた。

 統合自体は、少子化が進む中「避けられない」とし、反対意見もあった同窓会に説明し、80―90年余の伝統を誇る4校の建学の精神を引き継ぐことを提言した。当初、会の存在に強く反発していた県高教組須坂支部も「提言にはさまざまな議論が集約されている。合意できる点は統一歩調で活動したい」とする。

 県教委の具体的な校名を盛った再編案の発表は12月ごろ。その前に、専門学科の在り方について県産業教育審議会が素案をまとめるのが今月16日という日程になっており、考える会が提言書をまとめる期限は今月前半。このため、議論が十分に深まらなかった面もある。

 小布施町と高山村での懇談は1回ずつ。同村教委は「人ごとになっていた感は否めない」と漏らす。小中学校の保護者から意見が出ないなど「呼び掛けても関心が高まらない面もあった」と荒井会長。一時は、統合対象校を示すような文面を提言書に載せることも検討されたが、「地域の総意ではない」と判断し、削除した。

 山口教育長は14日、今後は提言を基に地域と協議し、12月に示す再編案で「提言に対する何らかの考え方を示す」とした。荒井会長は「前向きに受け止めてもらった」とするが「すべてとは言わなくても十分に生かされなかった場合、統合自体に反対ということもあり得る」と強調した。

 [旧第2通学区の再編計画骨子案] 県教委が6月、県立高校再編計画の骨子案で示した。須坂市、中野市、小布施町、山ノ内町、高山村の旧第2通学区で、2013年以降の比較的早い時期に、須坂市内の須坂、須坂東、須坂商業、須坂園芸の4校を3校に再編統合。専門学科を含む再編により、新たな高校を配置することが適当―とされた。


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