信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

市内で議論高まらず 「佐久市街地5校を4校」案
2008年6月23日掲載

 佐久市街地の5校を4校に−。県教育委員会が県立高校再編計画の骨子案を示してから10日間、市内で議論が高まる兆しはまだない。県教委は12月ごろをめどに、具体的な学校名を入れた再編計画案を示す予定だ。2005年からの再編論議は地域の理解を得られず撤回に終わった。再編をいかに教育環境の充実につなげるか、早く地域での議論を始め、主体的に考えることが重要だ。
 「同窓生から特に反響はない。28日の総会で話題になるかどうか」。岩村田高校同窓会の楜沢仁会長は話す。臼田高校同窓会の宮沢勇一会長の元にも意見は聞こえてこない。ただ、「以前から正副会長で普通科校転換を検討してきた」といい、近く学校長と意見交換する予定だ。
 県教委の骨子案で再編対象とされたのは北佐久農業、岩村田、野沢北、野沢南、臼田の5校。市街地から外れる小規模校は地域キャンパス(分校)化などの基準に沿って検討することとされ、交通の利便性がよく学校数の多い市街地が統廃合の対象になった。
 再編を急ぐ理由は少子化だ。県教委によると、本年度の佐久地方(旧第6通学区)の高校生徒数は2375人で、県立11校の学級数は51。10年後には1900人余、42学級に減り、減少は続くと予測されている。
 生徒数減少の影響は既に現れている。北佐久農業高校の男子バレーボール部は本年度、部員が1人。野球部も人数が少なく、相互に協力し合って大会に出場している。臼田高校は専門学科(職業科)で定員割れが続いている。ただ、「生徒数が少ない方がきめ細かく目が届く」(小林幹雄校長)と利点もある。
 前回の再編論議では、たたき台として県教委に名前を挙げられた野沢南、望月両校関係者が反発した一方、名前が挙がらなかった学校関係者は、口出しをして矛先が向いてきても困ると、口を閉ざしてしまった感は否めない。教育のあり方の議論は広がらなかった。
 「高校再編のパターンはいくつも考えられるはず」(丸野良督・北佐久農業高校長)だ。対象5校の関係者は当事者意識を持って、望ましい教育環境を考えるべきだ。学校名を入れた再編計画案を示す12月まで、それほど多くの時間はない。県教委は今回、地域の意見を聞いて進める姿勢を示している。受け身の姿勢では不満を残すことにもなりかねない。


<前の記事 どうする高校改革 トップ 次の記事>

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun