信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

自己推薦全日制2.03倍 予定数調査、都市部希望の傾向
2006年11月 2日掲載

 県教委は1日、2007年度高校入学志願者の第1回予定数調査の結果を公表した。公立全日制の自己推薦型入試(前期選抜)は、全体の56・0%の1万1899人が希望し、前年同期比0・2ポイント増えた。前期、後期とも都市部の高校の希望が高い傾向となった。
 既卒者を含む高校進学予定者2万1238人に、10月16日時点で自己推薦型入試と後期(私立や長野高専など含む)の第1志望を尋ねた。
 前期選抜の希望者を06年度の募集定員(新設校は学級規模と前期比率で想定)に当てはめると、倍率は2・03倍で前年同期と同じ。学科別では普通科2・60倍、農業科1・52倍、工業科1・41倍、商業科1・75倍、家庭科1・82倍。理数科や英語科など専門学科と総合学科は合わせて1・33倍だった。
 全日制の後期選抜は1万8155人が希望。普通科では松代、岩村田、諏訪二葉などで今春の募集定員を大きく上回った。
 学校別で公表していない私立は、3880人の募集定員に1626人が希望。長野高専は200人の募集に242人が希望した。県外高校希望者は299人、未定は662人だった。
 来春の公立高校入試は10日に募集定員が決定。前期選抜は2月5日、後期は3月7日に行う。

<「再編」対象校の一部に厳しさも>
 来春の高校入試は、県立高校再編計画による統合で3校が新設され、統廃合が検討された5件10校は「凍結」状態で行われる。県教委は、入学志願者の第1回予定数調査に「再編論議による大きな影響はみられなかった」とするが、一部の高校は今春の募集定員に達しておらず、生徒確保で厳しい状況が続きそうだ。
 犀峡との統合が凍結された中条は前期、後期の希望者が計17人。小林幹雄校長は「生徒募集をしない前提だった」と凍結決定後の時間のなさを嘆く。例年7月からの中学校訪問も今年は10月中旬に始め、1日に体験入学をした。「ゼロからのスタート」という。
 蓼科との統合が凍結された望月。志願者数が前後期とも今春の定員を下回ったが、高橋忠志校長は「存続に向け教員らの意識は素早く切り替わった。今後の推移を見たい」とする。松代との統合が凍結された長野南は今春の定員に達したものの、前年同期より約40人減。「厳しい数字だが努力する」と清水国利校長。カリキュラム変更など「新しい特色づくり」を検討中だ。
 一方、岡谷東との統合に揺れた岡谷南は、普通科が前期と後期で、英語科も後期でそれぞれ募集人員を上回った。中島森利校長は「調査時点はまだ統合が凍結されたばかりで、余韻が残っていた時期。それでも本校を希望してもらえたことに感謝している」。
 統廃合を進めるが、来春実施は見送りになった飯田工と飯田長姫は、ともに前年同期から希望者が微減。飯田工の桑沢政光教頭は「統合問題に時間を取られ、中学校へのPRが十分にできなかった」とする。
 一方、飯山、中野立志館、木曽青峰の新設3校と、総合学科に転換する丸子修学館(現丸子実)は、想定学級の定員数とほぼ同じか上回った。中野実との統合で中野立志館となる中野の斉藤定善校長は「北信初の総合学科への関心の高さが数字に表れたのではないか」。丸子実では「期待の表れ」との声の一方、中学生に総合学科の特長が浸透していないとの見方もあり、ある教員は「(希望者が)もう少し多くてもいい」と話した。
 再編で多部制・単位制に転換する松本筑摩は、後期で想定学級規模の定員をやや上回った。


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