信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

あいまいな結論に批判 一部「凍結」に対象校関係者
2006年9月27日掲載

 県教委が26日、県立高校の再編をめぐり、統廃合対象のうち5件の「凍結」方針を打ち出した。再編計画全体の「白紙撤回」を避けつつ、反対の強い地域については事実上、方針見直しに道を開く形だ。一方、明確な撤回方針が示されなかったことに、対象校の関係者からは「場当たり的な結論で、地域に不安を残す」との声も上がった。
 「温度差があるため、話し合いの内容も違ってくる」。松田泰俊・県教育委員長はこの日の記者会見で、統廃合対象校の地域事情の違いに言及した。
 県が県会9月定例会に提出、議会が否決した6件の統廃合案。ただ、県会の採決でも賛否の度合いは分かれた。今後とも実現が困難とみられるケースの一方、否決に回った県議の中にも「再編自体は必要」と理解を示す対象校もある。「凍結」を経て県教委は今後、地域や議会の反応もみながら、個別対応で統廃合を探る見通しだ。
 凍結対象となった高校の関係者。臨時会を傍聴した長野南同窓会の栗田裕善会長は「統廃合が『凍結』された高校に生徒が集まるだろうか。安心できる結論ではない」。中条の同窓会長で「県立高校の発展と存続を願う会」の久保田元夫代表世話人も「あいまいな結論で、地域や生徒は納得できない」と批判した。
 「岡谷東高校の存続と発展を図る実行委員会」の加藤弘子会長は県教委に「諏訪地方で1校削減する必要が本当にあるのか、原点に戻って地元と議論してほしい」と注文した。
 一方、臨時会では、これまで議論の「対象外」だった多部制・単位制転換校のうち2校も凍結対象に。野沢南の岩岡孝・同窓会長は「まだうれしいとはいえない。活動を続け、白紙撤回というはっきりした形を求める」と話した。


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