信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

対象校関係者に戸惑い 「早期決着」望む声
2006年9月 7日掲載

 県教委が6日、県立高校の統廃合計画で一部の実施を先送りする方針を示し、高校や中学の関係者の間には新たな波紋が広がった。統廃合の「1年延期」が示された対象校の同窓会などは「統合反対の答えにならない」と反発。延期対象に含まれなかった地域からは「基準が不明確」と不満が示された。県教委の判断が揺れたことで、統合に向け準備が進む対象校の関係者からは「予定通り進むのか」と戸惑いの声が漏れた。
 この日、統合の1年延期方針が示された岡谷東と岡谷南。岡谷東高同窓会の大槻智恵子会長は「白紙撤回を訴えてきており、賛成できない」。岡谷南高同窓会の浜富夫会長も「統合は不必要とする地域の訴えへの答えにならない」と言葉を強めた。
 同じく延期となった長野南と松代。長野南同窓会の西沢章顧問は県教委臨時会を傍聴した後、「白紙撤回」でなかったことに対し「到底納得できない」と反対を続ける姿勢を強調した。
 不透明さを増した統合の行方に、対象校や地域の中学の関係者は困惑を隠さない。諏訪地方の中学の進路指導担当教諭は「既に(岡谷東、岡谷南の)新校への受験を決めた生徒もいる」とし、「2校にまた至急説明会を開いてもらわないと。(進路指導を)これ以上遅らせることはできない」。2日に統合先の松代で体験入学を行った長野南の清水国利校長も「正直戸惑っている」と話す。
 一方、大町市と市教委は6日、大町と大町北が方針変更の「対象外」となったことを受け、統合案の白紙撤回を求める緊急声明を出した。牛越徹市長は「大町地区のことが検討されず憤りを感じる。県教委案が県会で否決されれば、重大な責任問題だ」と批判した。
 施設整備の見通しが明確でないことなどを理由に南信州広域連合などが統合延期を求めている飯田工業と飯田長姫。三ツ井慶一・飯田長姫同窓会長は「飯田下伊那は独自に統合案をつくり、重い決断を下してきた。このままでは『正直者がばかを見る』結果になりかねない」と言う。
 蓼科と望月の統合に批判的な「望月高校存続と発展を図る実行委員会」の比田井久寿郎会長は「県会審議が重要になる」として、県会側への働き掛けを強める構え。犀峡との来年度統合が予定される中条の校友会長で「県立高校の発展と存続を願う会」の久保田元夫代表世話人は「混乱が混乱を生むやり方」と県教委を批判、「県会は矢面に立たされるが、地域合意のない統合は承知できない」と話す。
 これに対し、新校名が「中野立志館」に決まり、統合準備が比較的進んでいる中野、中野実。青木一・中野市長は「新高校のイメージは、中学生や保護者には伝わり、地域合意はできている」と強調する。飯山照丘と飯山南は、将来統合する飯山北を含む3校による新校名を公募し、選考中。小松茂美・飯山南校長は「来春統合した方が地元に影響が少ない。このまま進めてほしい」と訴える。
 木曽と木曽山林の対象校2校に、蘇南を加えた「木曽3高校連絡協議会」の栗屋徳也会長(木祖村長)は「生徒減の現実を踏まえ、一定規模があったほうが良いと意思統一できた。県教委は、学習環境や魅力づくりに協力していってほしい」と「早期決着」を求めた。


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