信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

「着地点」探る新提案 県教委「改革推進」で歩み寄る
2006年9月 7日掲載

 県立高校の再編問題で、県教委は6日、一貫してこだわり続けてきた来年度からの一斉実施方針を撤回、長野、岡谷地区の統廃合を1年延期することを決めた。知事選で「地域合意のない計画は白紙に戻す」と主張した村井知事の当選も受け、「着地点」を見いだそうとする県教委側の新提案を、知事は尊重する姿勢を見せる。一方、13日の臨時会で関連議案を審議する県会内では、「1年間の延期では意味がない」と批判する声や、「妥協点として理解はできる」との見方など、会派や個々の県議で受け止めが分かれた。
 「さまざまな状況をかんがみた」−。県教委の松田泰俊・教育委員長は一斉実施の撤回を決めた臨時教育委員会後の記者会見で、判断理由を聞かれ、そう答えた。村井知事当選の影響については「全く関係ない」と述べ、見直しは県教委の判断と強調。なぜここで「転換」を選んだのか、長野、岡谷と他の対象校との違いは−などについて、はっきりした説明は聞かれなかった。
 松田委員長は否定するものの、高校再編問題をめぐる状況が知事選で大きく変化したことは否めない。高校改革プラン実施計画の決定にかかわった丸山〓教育長は、県教委方針を支持していた田中知事の退任とともに辞職。村井知事は就任翌日の2日、「県教委の意向を聞く」として委員と直接懇談した。
 県会が統廃合関連議案を審議する臨時会が13日に迫る中、仮に県教委側が「一斉実施」にこだわれば、県会が態度を硬化させ、すべての統廃合議案が否決されかねない−。野村稔委員はこの日の県教委臨時会で「早く方向付けるために、(計画を)進める道を模索することは大事」と発言。その後の取材に「こうちゃく状況をどうにかしないと中学生のためにならない。高校改革は必要だが、精いっぱい歩み寄った」と話し、県会の同意に期待をにじませた。
 ただ、9件の対象校の中から2件を見直した理由について県教委事務局は、4通学区ごとの高校改革プラン推進委員会が来年度実施に慎重な意見を付記したことや、実施計画を決定した後の各校の議論で、計画の一部見直しが議論されていると説明するにとどまる。
 「われわれはベストの状態で、(統廃合関連議案を)提案することが責務。最終的な決定は民意の反映である議会にお願いする」。長岡秀貴委員はこの日の臨時会で、そう話した。
(〓はりっしんべんに晃)


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