信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

なお見えぬ高校の姿 県立高条例改正成立 評価と不安
2006年7月11日掲載

 県立高校の統廃合で、募集定員決定前に県会の同意を必要とした県高校設置条例改正が10日の県会で成立した。統廃合の来春一斉実施に反対してきた保護者らは、改正を評価。一方で、統廃合方針が出た今春以降準備が進んでいる対象校もあり、混乱の長期化を不安視する声も相次いだ。
 岡谷東と岡谷南の統合が再編計画に盛られた諏訪地方。中学3年の子を持つ岡谷市内の母親(49)は「地域の反対を押し切る一斉実施は許されない。(改正案可決は)うれしい」と安心した様子。別の中3の子の父親(47)も「子供たちは統合後の学校の姿が分からないままだ。早く先送りを決断して」と訴えた。
 大町北と大町が統合する大町市。腰原愛正市長は「良かった。議案を出した県会を高く評価したい。県教委は一刻も早く姿勢を明確にするべきだ」と話した。
 再編を考えた3月の「全県高校生集会」で実行委員だった塩尻志学館3年の高山拓真君(17)は「県民合意が得られていないという表れでは。県会が判断する前に、もう一度高校生が発言する場を持ちたい」。中信地方の再編対象校の男性教員は「県教委が無理なスケジュールで計画を進めようとしており、現場の声にかなった結果だと思う」と受け止めた。
 ただ、多くの対象校では、来春の再編に向けた準備が進んでいる。新校名を公募するなど、中野市で中野実との統合準備を進める中野の斉藤定善校長は「(統合が)先延ばしになれば、新しい学校づくりを目指す教職員の士気が下がる」と懸念。飯田市で、飯田長姫と統合する計画の飯田工・上原保校長は「県内全体の計画で、ここだけ動きを止めることは考えていない」と言った。
 蓼科(北佐久郡立科町)と統合する望月(佐久市)の地元中学の進路担当教員は「統合案に賛成しているわけではないが、統合が凍結されると進路指導が振り出しに戻り困る」と戸惑う。
 飯山南と飯山照丘を来年度に統合、最終的に飯山北を含む3校の統合計画が示されている飯山地方。南と照丘の統合校へ進学を希望している飯山市内の中3男子(15)は、計画通りの統合を望んでいる。「いろいろな生徒が集まる大きな高校の方が部活も勉強もしやすい」
 中3の子を持つ長野市内の父親(42)は「夏の体験入学が直前で、生徒の学校選びが具体化している。体験後、統合なしとなれば影響は出る。(県会も県教委も)どちらも責任をもって決定を急いで」と注文した。


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