信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

一斉実施の阻止狙い 条例改正案、県会各派の対応注目
2006年6月15日掲載

 県教委が2007年度一斉実施を目指す県立高校再編で、共産党が6月県会に提案する方針の条例改正案は、可決されれば県会の判断で再編準備をストップできる内容だ。一斉実施に反対してきた県会各派にとって、県教委に対抗する「切り札」となりうるが、再編を阻止した場合は受験生に今以上の混乱を与えたり、その責任を議会が負う形となる「もろ刃の剣」(県会高校改革プラン研究会会長の柳平千代一議員)。各派の対応が注目される。
 県会はこれまで「地域や学校関係者らの合意が得られていない」として高校再編案の白紙撤回などを求める決議を昨年7月と10月に行った。
 これに対し県教委は、現行条例で必要な条例改正案の提出時期を明らかにせず、校名変更の条例改正も「再編前の生徒が卒業するまでに行う手法もある」とし、県会が否決する可能性のある条例改正を後回しにして、現場の再編準備を先行させてきた。県高教組は「既成事実化しようとしている」と批判している。
 今回の条例案は、この状況に「待った」をかける狙いがある。廃校を前提とした募集停止は県会の賛成が必要だとし、廃止議案に必要な賛成議員数も引き上げる。
 一方、再編対象校は中学校を訪ねて実施計画や教育課程の検討について説明に入っており、7月下旬までには教育課程を決定、体験入学を始めるスケジュールだ。条例改正には「この段階では遅く、混乱を招きかねない」(中信の中学校教頭)との声もある。県教委は「今の段階ではコメントのしようがない」(吉江速人教育次長)としている。
 柳平会長は14日、「県教委の進め方がおかしいから今回の動きになったと思う」とする一方、「中学生に混乱を与え、将来的にも地域高校の存続問題などで県会がより重い責任を負うことにならないか」と慎重な見方も示した。


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