信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

地域合意ないまま 学校関係者の批判と不安
2006年3月31日掲載

 県立高校の統合、再編方針を盛った県教委の実施計画が30日、決まった。現在の89校のうち、10校を減らす内容に、校舎が使われなくなるとされた学校の関係者から批判が噴き出した。多くは1年後から変更するとの県教委の姿勢にも不安の声が大きい。

 第1通学区 松代と長野南の統合は、当初案通り松代の校地・校舎を使うことに。長野南の西沢章同窓会長は「人が増えている地区の高校がなぜなくなるのか」と批判。同校1年の岡沢美智子さんは「アンケートをして、県教委に疑問をぶつけたのにショック」。松代の春原忠由同窓会長は「高校が残る方針にほっとした。ただ、議論が早急だった」とした。
 中条と犀峡も統合し、犀峡の校舎を使う。中条の校友会長で「県立高校の発展と存続を願う会」の久保田元夫代表世話人は「地域合意を得られるような議論がない」とし、村の人口減につながると懸念。屋代南の「将来を考える会」の中沢満子副会長は「多部制・単位制でどうなるか今後も説明が必要」と話した。
 第2通学区 多部制・単位制転換の野沢南の井出亮PTA会長は「地域に必要なのか検証されていない」と批判。同校生徒会長の佐々木史也君(2年)は「地域や生徒がこういう高校にしたいと要望したら、県教委は協力して」と注文した。
 望月と蓼科は統合、蓼科の校舎を活用。「望月高校存続と発展を図る実行委員会」の上野品吉会長は「対案で示した多部制・単位制高校としての存続を今後も目指す」。
 屋代南への統合となった上田千曲定時制。「上田・千曲両校の定時制存続を願う会」の荒井一則世話人代表は「千曲高の機械科を引き継ぐ課程がなければ単なる廃止だ」と反発した。
 第3通学区 統合方針となった岡谷東と岡谷南。岡谷南PTAの高野勝寛会長は「諏訪では中学卒業者が当面減らず、統合は不要と訴えてきたが、理解してもらえなかった」と落胆した。校舎は将来、岡谷南に統合する方針で、岡谷東同窓会の大槻智恵子会長は「統合ならば、校舎が新しい岡谷東と思っていた。理由が分からない」と憤る。
 飯田工と飯田長姫は統合後、飯田工の校舎を活用する方針。飯田長姫同窓会の三ツ井慶一会長は「急激に生徒が減るわけではないのに(1校分に)縮小するのは疑問」と指摘した。箕輪工を転換した多部制・単位制校に統合される上伊那農定時制の北野宗男・同窓会定時制部会長は「生徒の精神的な支えの場が失われかねない」と心配した。
 第4通学区 「大町高校と大町北高校の存続を守り育てる市民会議」の二条孝夫会長は、県教委臨時会を傍聴。両校統合計画に質問が出なかったことに「私たちの意見が取り入れられることが全くなかったという印象」と失望を見せた。
 県教委当初案では木曽山林に吸収される形だった木曽は、統合後2校の校舎を使う―となった。木曽の水本豪PTA会長は「吸収にならなかったのはよいが、歩いて30分離れた校舎をどう使って学校活動するか、学校像が不明確」。木曽山林の大谷実PTA会長は「カラーの違う学校をどうまとめるのか」と指摘。2人とも「2007年度からの募集は早すぎる」と話した。


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