県教委の県立高校再編案で、箕輪工業の全日制廃止後に新設される多部制・単位制高校への統合が検討されている上伊那農業定時制のPTAや同窓会は22日夜、県教委職員と高校改革プラン推進委員を招き、伊那市の同校で話し合いの会を開いた。同校関係者から、不登校経験者の受け皿になっている少人数の教育環境をなくさないよう求める声が相次いだ。
同校の生徒や保護者、同窓生、教員ら約90人が参加。県教委からは3人、推進委員は2人が出席した。
男子生徒は「ほとんど登校しなかった中学生のころと比べ、定時制では先生と気軽に話せ、何かあった時には自分のことのように考えてくれ、感謝している」と意見文を発表。母親らは「小規模であることが癒やしになる」「不登校経験者は増えている。定時制を統合して減らすより、むしろ増やすべきだ」などと訴えた。
これに対し、県教委側や推進委員は「多部制・単位制校も、その機能を受け継ぐ」「多様な生徒に対応できる」と説明。推進委の池上昭雄委員長は「上伊那農業定時制の統合は推進委で結論が出ている。ただ、きょう聞いた意見を参考に、付記事項を最終報告に盛り込む」と述べた。
同窓会定時制部会の幹部は閉会後、「統合先の多部制・単位制高校が、上農定時制の良さを継承し軌道に乗るまでは、上農定時制を存続させてほしい」との内容の要請書を推進委や県教委に提出する意向を示した。