信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

第2通学区「対案」―扱いに注目 推進委に戸惑いも
2005年11月 8日掲載

 県教委の高校再編案を検討している高校改革プラン第2通学区(東信)推進委員会が11日まで募集している地域からの「提案(対案)」の扱いをめぐって、注目が集まっている。これまでに、統廃合対象とされた望月高校(佐久市望月)の同窓会などでつくる実行委が、同校を多部制・単位制に転換する―との案を出したが、委員からは「次々に案が出ると混乱する」との声も。今後、複数の学校の同窓会などが案を出した場合、それらをどう判断、集約するか。推進委は難しいかじ取りを迫られそうだ。


<望月高は多部・単位制転換示したが…「他校も続けば混乱」>

 「自分の学校を多部制・単位制にするというだけで対案と言えるのか」

 「なぜ対案と言えないのか。県教委案はたたき台ではないのか」

 10月28日、小諸市民会館で開いた第2推進委の会合。望月高校の「存続と発展を図る実行委員会」(上野品吉会長)が提出した案をめぐり活発な論議が続いた。

 望月高校の実行委は当初、県教委案に対し白紙撤回を求めていた。が、「何としても学校を存続させたい」(上野会長)との強い思いから、多部制・単位制に大きく方針転換した。

 同高は本年度入試で、定員充足率が同通学区17校で最低の78・75%。さらに県教委案で再編候補となったことで、今後も入学者減少が予想され、実行委は「白紙撤回」は難しいと判断。現実路線を選択した。学校側も昨春、県議会の現地調査に対して独自に多部制・単位制校の転換に意欲を示していたこともあり、実行委の方針転換に混乱はなかった。

 県教委案で「各通学区に1校設置する」という多部制・単位制校。第2通学区では、野沢南高校(佐久市原)の名が挙がっている。第2推進委では、設置の是非も含めて審議中だが、同高の岩岡孝・同窓会長は望月高校の実行委案を「一つの考えとして良いと思う」と好意的に受け止める。

 一方で、仮に実行委の案が通った場合、あらためて「統廃合校をどうするのか」(第2推進委員)との新たな課題も生じる。望月高校との統合案が示されている蓼科高校(立科町)の宮下典幸・同窓会長は実行委案について「他校のことで賛否を言う立場にない。県教委の再編案転換はないとみているが、仮に対案を求められたら『県教委案で』としか言えない」としている。

 これまでの推進委の会合では、委員から「資料という認識でいいのか」と、対案の位置付けに関する質問も繰り返されており、今後の議論の困難さもうかがわせている。望月高校実行委の上野会長は「自分のところだけの案との指摘もあったが、他校について言えるわけがない。今は議論の行方を見守りたい」と話している。(遠山 嘉之)


<前の記事 どうする高校改革 トップ 次の記事>

掲載中の記事・写真・イラストの無断転用を禁じます。
Copyright© 信濃毎日新聞 The Shinano Mainichi Shimbun