信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

「拙速」反発に配慮か 事務局と認識ずれも
2005年6月30日掲載

 【解説】県立高校の統廃合が焦点となっている高校改革で、宮沢脩・県教育委員長が29日の県会一般質問で、「年内」としてきた高校改革プラン推進委員会の検討結果の報告時期について「こだわらない」と述べた。3月に県立89校を75校に14校削減すると目安を示し、今月24日には統廃合対象となる校名を提示。県教委は4通学区ごとの推進委に対し、年内と期限を区切って結論を出すよう求めてきたが、こうした押せ押せの推進手法に「拙速」との反発が強まったためだ。

 高校改革論議はこれまで、削減数、対象校名を立て続けに示した県教委のペースで進むかに見えていた。だが、28、29日の県会一般質問でも2日間にわたって高校改革が集中的に取り上げられ「県民が理解しないままトップダウンで決まる」「(推進委の議論で)一定の成果が出た時点で校名を示すべきだ」など、県教委主導への批判が相次いだ。

 宮沢委員長はこの日の答弁の後、推進委の検討結果報告について「結論が出なければどうしようもない」と述べ、さらに、推進委の報告が遅れた場合、県教委が年度内の策定を目指している高校改革プランの実施計画策定が遅れる可能性があるとの認識まで示した。

 一方、県教委は2007年度入試から統廃合対象校の募集を停止したい考えで、そのためには年度内の実施計画策定は必須。宮沢委員長の認識に対し、事務局レベルでは「年度内の策定方針は変わらない」(松沢睦司教育長職務代理者)と、宮沢委員長とのずれをみせている。

 第1通学区推進委の中村正行委員長(信大工学部助教授)は「推進委だけで議論を進めるわけにはいかないだろう。委員の合意で、高校生や自治体の意見を聞く機会を設けられる」とし、期間にこだわらないとした宮沢委員長を評価した。

 この日の委員長発言で、県教委が想定したスケジュールは延びる可能性も出てきた。県教委が期限にこだわらず柔軟に対応すれば、各推進委がじっくり議論を積み上げる環境が生まれる可能性もある。(辻元邦宏)


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