信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

対象校や関係自治体―反発と動揺 存続へ署名活動も
2005年6月28日掲載

 県教委が県立高校の全日制14校の削減を柱とする再編案を示したことを受け、27日、対象に挙げられた各校や同窓会、自治体関係者らは、「存続」に向けた動きを始めたり、動揺する在校生への説明に追われたりするなど、波紋が広がった。県町村会は同日、地域高校がある町村の首長らと県教委の意見交換を長野市内で開催。町村長側からは、再編案や県教委の手法に批判が続出した。

 木曽郡木曽福島町の木曽は同じ町内の木曽山林への統合案が示されたのを受け、同窓会とPTAが緊急役員会を開いた。40人余が出席し、普通科存続を求める署名活動や町村議会への請願に取り組む方針を確認した。

 犀峡(上水内郡信州新町)に統合するとされた中条(同郡中条村)をめぐっては、地元自治体などでつくる「中条高校を育てる懇話会」(会長・宮島和彦中条村長)が総会を開催。通学費補助、コース制授業支援のため、本年度は昨年度より約150万円多い約340万円を支出することを決めたほか、校友会(同窓会)が存続を求める署名活動を行う―とした。

 普通科から多部制・単位制に転換する案が示された野沢南(佐久市)は、同窓会が「白紙撤回」を求めて三浦大助市長に協力を要請。28日にも県教委に働き掛ける。

 再編案によると、同じ長野市の松代と統合する長野南、蓼科(北佐久郡立科町)と統合する望月(佐久市)、同じ大町市の大町に統合する大町北は、臨時の全校集会を開いた。「たたき台としての提示で決定事項ではない」(大町北)、「来年も募集がある」(長野南)などと伝えた。

 大町北は職員が中心となって、独自に大町市内2校が存続する方法を検討したり、統合した場合の学校の在り方についても研究を進め、第4通学区(中信)推進委員会に資料提供する方針だ。

 中野(中野市)、坂城(埴科郡坂城町)、飯田長姫(飯田市)なども学級担任を通じ、生徒側に状況を説明した。

 県町村会主催の意見交換では、第2通学区(東信)推進委員の遠山順孝立科町長が「白紙撤回してほしい」、第3通学区(南信)推進委員の岡庭一雄・下伊那郡阿智村長も「県行政と市町村行政との信頼関係を失わせる」と訴えるなど、「あまりにも唐突」(小柳伸一・上水内郡三水村長)といった不満が相次いだ。

 上伊那郡箕輪町の平沢豊満町長は、再編案を決めた県教委の定例会や臨時会が非公開だったことに対し、「合意形成のプロセスが極めてまずい」と批判。再編案について「どんな基準で決めたか、皆目分からない」と指摘した。


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