信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

論議途上…「校名」重く 反発覚悟の提示
2005年6月25日掲載

 24日、県教委が統廃合対象の校名提示に踏み切った高校改革問題。「早すぎる」「これからが正念場」…。県教委から改革論議を委ねられている4通学区ごとの高校改革プラン推進委員会や、地域高校の統廃合反対を訴えてきた自治体、同窓会関係者らに波紋が広がった。「年内の結論」を求め、ボールを投げた県教委。これをたたき台に、各推進委の主体的な論議は深まっていくのか。

 「このままだと収拾がつかなくなる」

 統廃合対象の校名提示を決めたこの日の県教委臨時会の前、宮沢脩委員長はそう語った。

 委員長によると、地元の高校存続を求める市町村や同窓会から提出された要望書や陳情書は既に37件。飯田下伊那の南信州広域連合は、推進委の論議とは別に高校存続のために「対案」を示すことを決定。「県立高校の発展と存続を願う会」はj十分な議論を求める署名活動を開始する。

 前回定例会で「県教委としての議論が深まった段階」で高校名を示す方針を示してからわずか10日。「県教委の焦り」(「願う会」の久保田元夫代表世話人)との見方もあるが、県教委が校名提示に踏み切ったのは、高校存続の要望が拡大すればするほど、「大きな声」に押され、高校改革プラン推進委員会の議論が制約を受けることを懸念したからだ。

 各地の推進委に年内に結論を出すよう求め、来年度からの改革実施を目指す県教委。臨時会後の記者会見で、宮沢委員長は「反発は覚悟している。名前が出たことで逆に自由な議論ができる」と自信をのぞかせ、反発を懸念した吉江速人高校教育課長が「(校名提示は)議論を進める上での触媒」と補った。

 統廃合と併せ、新タイプの多部制・単位制高校や総合学科高校を導入するとした県教委案は、周到に準備されたのか。地域高校だけでなく「長野南と松代を統合、松代の校舎・校地を利用」と都市部校の再編案を示したのは、田中知事の意向にも応える形になったが、「長野市南部から北部の高校へ多く入学している」との理由だけでは唐突さも否めなかった。


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