信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

校長や関係者に驚きや憤り 「別の名出せぬ」懸念も
2005年6月25日掲載

 この日、上水内郡信州新町では県地域高校協会の総会が開かれ、校長やPTA関係者らが出席していた。県教委が統廃合の対象校名を発表したことが伝わると、携帯電話を片手に慌てて会場を出入りする姿が目立った。

 再編案に蓼科高校(北佐久郡立科町)との統合が盛り込まれた望月高校(佐久市)の吉田茂男校長は「想定外の内容でショック。生徒の顔が頭に浮かぶ」。蓼科に吸収されるイメージが強いが「現場としては吸収という理解はしたくない」と話した。

 蓼科高校の山野井杲〓校長は「望月高校側のことも考えながら慎重に対応していきたい」と話し、県教委の進め方に対しては「名前が出るのはもうちょっと先かと思っていた。だが、いつかは誰かが提示しないといけない」と理解を示した。

 第3通学区推進委員を務める岡庭一雄・下伊那郡阿智村長。村内の阿智高校は対象にならなかったものの、校名提示に「教育の世界でこういう抜き打ち的なやり方で結論を出すのは言語道断」と憤った。27日の推進委の欠席も考える。

 「願う会」の久保田代表世話人は「いくら『たたき台』とはいえ、県教委が名前を示した以上は、推進委員が統廃合の対象となる別の高校名を出しづらい」と議論の行き詰まりを懸念する。

 5月29日発足したばかりの各地の推進委員会の議論は、県教委案に引きずられ、結果的に制約されるのか、文字通りたたき台として、地域から議論を積み上げていくことができるか。県教委が年内に結論を出すよう求める中で、統廃合論議だけに終わらせず、魅力ある高校像を示す重い課題を負っている。


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