信濃毎日新聞ニュース特集「2007県議選」
旧町村 声は届くか 飯田市区の上村・南信濃地区
2007年3月31日掲載
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 県内市町村の枠を大きく変えた「平成の大合併」後、初の県議選が30日、始まった。「われわれの思いを聞いてもらうチャンス」「周辺部となり、声が届くのか」−。旧町村の有権者たちは新しい「市区」での候補選びに期待と不安を交錯させる。下伊那郡区から飯田市区になった上村、南信濃地区、上水内郡・更級郡大岡村区から長野市区になった豊野町地区の告示日を見た。
 「遠山郷の素晴らしさを守ります」。午前11時、上村中心部に候補の声が響いた。ある女性(74)は「市区は県議数が多い。県に地域の声が届くと期待したい」と受け止めた。
 正午前後にこの候補と別の候補の選挙カーが駆け抜けた上村内の国道152号。沿道で自動車整備会社を営む清水良彦さん(46)は「名前の連呼で政策は聞けなかった」と不安そうだ。
 三女が通う上村中学校は、複式学級になる可能性があった。清水さんは昨夏、親の会をつくり、複式学級化に疑問を提示。県教委と市教委が教員3人を加配する臨時措置を取ったが、2007年度中に今後の方向を決めなくてはならない。
 それだけに県議の力が必要と思う。市区候補は身近でないが、「ここに住んで損だと思わせない人を選びたい」と言う。
 南信濃で理髪店を営む山崎礼爾さん(73)は、昼すぎに店前を通った候補2人と握手した。
 地元の桜を守る会の会長。「小さな地域独特の魅力を大事に考えてほしい」。合併前は郡区選出県議の親睦(しんぼく)会に出たが、今回は直接知る候補がいない。「地域の良さをよく知る人を選びたい」と話した。
 民俗芸能や自然豊かな上村、南信濃。人口は今年2月末で上村652人、南信濃2092人で、2005年10月の合併時から両地区で計128人減った。有権者数は両地区合わせて市区全体の3%未満だ。
 南信濃の国道沿いでそば店を営む草田和巳さん(57)は国重要無形民俗文化財の「霜月祭り」や自然などを、地域住民がうまく活用できていないと感じている。
 店内で、遊説を耳にして県議選を実感した。地域活性化に住民アイデアが問われるが、行政の後押しも必要と考える。「住民の意見が生かされる県政か、住民が知らないまますべて決められる県政になるのか、大事な選挙」と位置付けた。
【写真説明】飯田市南信濃を駆ける選挙カー=30日午後1時すぎ
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