4月の統一地方選に向け、信濃毎日新聞社が19日まとめた県民世論調査で、県会や地元県議の活動に不満を感じている県民が半数を超える現状が浮き彫りになった。昨年の知事選まで、田中前知事と対立する場面が目立った県会は、前知事に刺激を受ける形で政務調査費の透明化などに取り組んできたものの、県民はさらに踏み込んだ議会改革の姿を求めているといえる。県議選に臨む現職や元職、新人が具体像を示していけるか、個々の主張や姿勢が問われることになる。
県議の活動について、「県政・知事と県民のパイプ役」「県政・知事のチェック役」「県政・知事への政策の提言」「議会改革の姿勢」に分けて評価を聞いた質問では、いずれも「評価しない」が4割を超え、「評価する」を上回った。
結果について、県議選への立候補を予定する南信地方の新人の1人は「当然と思う。今の県会には1つ1つの政策論争の姿が見えない」と主張。北信地方の新人の1人は「このままの県会なら『県会不要論』が出てきてもおかしくない」と話す。
これに対し、県会最大会派、自民党県議団(10人)の小林実団長は「議会の持てる権限の中でチェック機能を果たすため努力してきたが、県民の意見は真摯(しんし)に受け止めたい。議会側も説明責任を果たしていかないといけない」。第2会派の県民クラブ・公明(9人)の宮沢敏文会長は「(多くの県議が)住民の声を聞き、話し合うという最も大事な役割を忘れてしまっているのではないか」と指摘。「今こそ現場主義に立ち返るべきだ」と強調する。
その一方で、県会内からは、「県民がわれわれの行動をどれだけ理解しているのか疑問。地元で県政報告会を開いても、なかなか参加してもらえない現実がある」(中信地方のベテラン議員)との受け止めも漏れる。
県会は、議会のあり方への批判を強めた前知事への対抗もあり、議員の調査研究のために1人当たり月額29万円が支給される政務調査費について、2003年5月から収支報告書に領収書を添付し、公開対象とした。「観光目的ではないか」との批判があった海外視察についても02年1月から凍結している。
県会で一般質問に立つ議員も大幅に増え、開会中の2月定例会では43人が質問を予定。「かつては質問に立つことを軽視する空気もあったが、意識は変わった」(1期目の県議)との受け止めは少なくない。
だが、調査結果では「議会改革の姿勢」について、「評価しない」が46・6%で、「評価する」(30・6%)を16ポイント上回る。この意識のずれをどう解消していくのか。
東信地方の1期目の議員は「しきたりにとらわれず、委員会の審議時間を大幅に増やすなど、議会のルール見直しが必要」とする。県民からの要望を時間をかけて議論し、きめ細かく対応することで「県会への関心も高まる」との見方だ。
北信地方のベテラン議員の1人は「今の制度では知事提出の予算案の減額はできるが、ほかの目的に回すことはできない」と説明。「知事に対する議会の権限強化も課題だ」と言う。
また、現在の制度では、県が予算をどう使ったか示す決算案について、議会が「不認定」としても、知事の対応は必要ない。こうした点について見直しが必要―と主張する現職もいる。
県会改革に必要なことでは、「議員定数を減らす」(15・2%)「政務調査費を減らす」(5・3%)といった回答も目立った。県議選への立候補予定者1人1人が、変化を求める県民の声をどこまで受け止め、議会の「存在意義」を発信していけるか―。今県議選での大きなポイントになる。