信濃毎日新聞ニュース特集

トリノ冬季パラリンピック

小林深 粘りの銀 正確射撃で2個目のメダル
2006年3月15日掲載

 最後までストックに力を込め、小林ガイドを追った。ノルディックスキー・バイアスロン女子7・5キロの視覚障害は、小林深雪にとっては1998年長野大会で優勝した種目だ。最後まで粘りきって銀メダルを決めると、優勝したベンテレらと抱き合い、2人とも互いのガイドに肩ぐるまされて祝福された。
 12・5キロの金に続く今大会2個目のメダル。「初心に戻ったつもりで頑張ろうと思った。初めてのメダルのようにうれしい」。強い日差しの下、今度は涙ではなくすがすがしい笑みが広がった。
 12・5キロでは、20発中ミスがひとつだった射撃の正確性が優勝につながった。この日も、10発中8発を決めて参加8選手中最高。標的は見えないが、ヘッドホンから聞こえる電子音に集中。的に合って高音が頻繁に鳴った時に、耳と心と器用な指先が一体となって打ち抜く。
 さらに、小林が「ワックスがよかった」というようにスキーが滑り、後半までトップの力走だった。所属企業の日立システムアンドサービスの支援を受け、昨季から本格的にワールドカップ(W杯)を転戦して培った走力を証明した。
 「深雪の走りでメダルが取れた」と、小林ガイドは選手を笑顔でたたえた。


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