伊那建設事務所は、7月豪雨で土石流が発生した伊那市西春近柳沢地区の前沢川に高さ14・5メートル、幅75メートルの砂防えん堤を建設する。28日、市の災害危険個所パトロールで計画を明らかにした。10月11日に地元住民に説明する。
えん堤は中央道から約150メートル上流に設置。上部中央部分に高さ2メートル、幅8メートルの鋼製の枠を据え付けるハーフスリット(部分透過)式。7月豪雨では大量の樹木が流れたため、土砂とともに流木を止める効果の高い方式を採用したという。事業費約4億円で、2007年度内に完成させる。
えん堤下流は約1億3000万円かけ、50年に1回の確率の土石流に耐えられるよう護岸などを整備。遊砂地も設ける。
7月豪雨で前沢川上流に崩れ落ちた土砂が下流に流れないようにするため、上伊那地方事務所も07、08年度、高さ6―10メートルの谷止め工(治山ダム)を設置する予定。
建設事務所は「砂防えん堤と谷止め工による総合対策で、今回と同程度の土石流災害に対応できる」としている。建設事務所によると、柳沢地区の流出土砂量(概算)は、前沢川に残っている不安定土砂も含め約7万4000立方メートルで、7月豪雨では県内最大規模。