信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

雨水2.5倍流入 諏訪の下水処理場、能力超え逆流も
2006年9月13日(10:07)

 豪雨災害が発生した7月19日、諏訪地方6市町村の下水を処理する諏訪湖流域下水道豊田終末処理場(諏訪市豊田)への流入量が約24万2000立方メートルと、通常の2・5倍余に達していたことが分かった。下水管に雨水は流入しない仕組みだが、どこからか大量の雨水が流れ込んだとみられる。諏訪湖周辺の低地などで下水が逆流したり、流れにくくなったりしたほか、1日の処理能力(15万立方メートル)を上回ったため通常の処理工程を短縮した時間帯もあった。
 県から施設管理を受託している県下水道公社南信管理事務所によると、1日平均流入量は2004年度は約9万4000立方メートル、05年度は約8万5000立方メートル。7月19日の流入量は1979(昭和54)年の利用開始以来最多だった。
 処理場地下にある下水を受け入れるますの水深は、18日午前7時の1・3メートルから、19日午後3時には10・3メートルまで急上昇。これに伴い、処理場につながる下水管の下水が流れず、20日夕ごろまで下水が逆流したり、流れにくくなった。
 同事務所は「どこから雨が入ったのかはっきりしない」としながらも、マンホールの鍵穴や、屋外の水場の排水口、下水管の接続部のほか「自宅への浸水を防ぐため、自宅敷地内のマンホールを開けて水を流した可能性もある」とする。
 同処理場は、流入した下水の固形物を沈殿させた後、微生物の働きにより有機物を沈殿させる2工程で処理している。同事務所によると、流入量が処理能力を上回った計105時間余り、余剰流入分は最初の沈殿処理しかできなかった。水質は排出基準を超えないが、「通常より悪くなることは確か」としている。県諏訪湖事務所は下水管の大部分を管理する市町村に原因調査を呼び掛けていく。


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