信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

森林や砂防ダムの整備を 諏訪で信大の研究者が講演
2006年9月12日(10:17)

 信大自然災害科学研究会と同大山岳科学総合研究所は10日、公開シンポジウム「平成18年7月長野県豪雨災害に学ぶ」を諏訪市文化センターで開いた。信大の研究者が、岡谷市や辰野町で発生した土砂災害の特徴や今後の対策について講演。約180人が聴講した。
 全学教育機構の大塚勉・助教授(構造地質学)は、同研究会メンバーが調査した岡谷市と辰野町の土砂災害現場6カ所の地質状況を説明。岡谷市湊、川岸、辰野町赤羽の計4カ所で発生した土石流は、一帯の「塩嶺累層」という地層が風化して水を通しにくくなった上に表土が積もり、豪雨により貯水しきれなくなって崩れ、あふれた泥水が流れ下った「塩嶺―洪水型」だった―と解説した。
 農学部の北原曜教授(治山学)は死者7人が出た岡谷市湊の土石流について、住宅地の上部は傾斜が緩やかだが、障害物が少なく直線状で、土石流は水分量が多かったため止まらなかったと推察。土石流が発生した尾根近くの一帯は整備されていないカラマツ人工林だとして、間伐を進めて根がしっかり張った森林づくりを進めることや、直線状に流れる部分に砂防ダムを優先的に設置するよう指摘した。
 同研究会代表で副学長の小坂共栄・理学部教授は、シンポの締めくくりに「地域住民と行政、専門家が力を合わせ、自然災害から暮らしを守る努力をすることが大切。研究会としても地域の防災マップ作りなどに積極的に取り組みたい」と述べた。


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