信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

被災地での診療や心のケア 諏訪日赤が活動報告会
2006年8月31日(09:47)

 諏訪赤十字病院(諏訪市湖岸通り5)は29日夜、7月豪雨での同病院の災害支援活動を振り返る報告会を院内で開いた。被災地での救護活動をはじめ、院内や在宅介護の対応について、担当した医師や看護師らがプロジェクターを使って経過を説明。被災地での情報収集や迅速な初動対応などが課題に挙がった。
 同病院は7月20−25日、医師や看護師ら延べ28人を被災地の巡回診療に派遣。土石流災害があった岡谷市湊地区をはじめ3市町計11カ所の避難所などで86人を診療した。7月25日−8月7日には、被災した住民の不安やストレスを和らげる心のケアに、岡谷市湊地区の避難所2カ所で延べ22人が対応した。
 報告会は病院関係者約100人が出席。巡回診療に加わった酒井龍一医師は「一人暮らしのお年寄りはけがをしていても後片付けに追われ、診察を受けるどころでなかった」とし、「区長などを通じて救護の必要がある人を把握することが大切」と述べた。
 心のケアに当たった竹科利子看護副部長は「同じ地域でも、世帯によって被害の程度は雲泥の差がある。異なる被害状況の住民同士が同じ避難所にいることで、人間関係に亀裂が生じてしまう。程度によって避難場所を分ける必要があるのではないか」と指摘した。
 岡谷市湊に住み、自宅が土石流で被災した放射線科部の花岡宏行技師長は、被災者の立場から報告。「流木が体に当たってけがをしたり、寝たきりで浸水した家から出られないお年寄りが何人もいた。救護は発生直後の対応が肝心」と話した。
 小口寿夫院長は職員の労をねぎらい、「今後災害が起きた時、病院だけでなく地域全体として何ができるか考えてもらいたい」と呼び掛けた。


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