信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

地層に合わせ防災を 信大研究会が辰野の崩落現場調査
2006年8月30日(09:54)
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 信大自然災害科学研究会の小坂共栄・理学部教授らが29日、7月豪雨で土砂が崩落した辰野町小野、赤羽、小横川の現場を調査した。小野と赤羽は水を大量に含んだ地層が流れた土砂流、小横川は川の流れに地層がえぐられた―と分析。小坂教授は「同じ土砂崩れでも岡谷と辰野では山の地層が違う。それを念頭に防災策を考える必要がある」とした。
 小坂教授らによると、小野の土砂崩れ現場は、水を通しにくい岩盤の上に岩盤が風化した堆積(たいせき)物、その上に火山灰が粘土化したローム層が重なった3層構造。真ん中の堆積物が多量の水を含み、その水圧とローム層の圧力で水とともに土砂が流出した。
 赤羽は、弱い変成作用を受けた岩盤の上に、変質して水を通しにくくなった安山岩などが重なり、さらにローム層が重なっている。岡谷市川岸地区と同様、大量の水を含んだローム層が土砂流となって崩れた。
 小横川の地層は、弱い変成作用を受けた岩盤上に軽石層、その上を厚さ50メートル以上の新しい角れき層が覆う。小横川川が軽石層をえぐり、水を含み不安定な角れき層が崩れた。同川沿いには、同様の崩壊が起こり得る場所が数カ所あるという。
 同研究会と信大山岳科学総合研究所は9月10日、諏訪市文化センターで、豪雨災害現場の中間調査結果の一般向け報告会を開く。
【写真説明】辰野町小野の土砂崩れ現場を調査する小坂共栄教授(左)ら


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