信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

白鳥への影響に心配の声 安曇野の犀川で流れ変わる
2006年8月28日(10:10)
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 7月の豪雨によって安曇野市の犀川白鳥湖周辺で川の流れが変わり、例年10月以降の白鳥の飛来に影響するのではないか、と心配する声が出ている。市は11月にも始める災害復旧工事に合わせて来年春までに流れを元に戻す計画だが、地元の「アルプス白鳥の会」は「湖のよどみがなくなってしまっている。白鳥が滞在するかどうか分からない」と、工事の前倒しを求めている。
 国土交通省千曲川河川事務所松本出張所によると、豪雨によって犀川の流れが分かれ、その一つは、水をせき止めて白鳥湖をつくっている中部電力のえん堤を迂回(うかい)するように、左岸側を流れるようになった。左岸の河川敷には駐車場や、車いすで訪れる人のための見学スペースがあったが、いずれも流失した。
 市産業観光部は、駐車場脇に取水口がある重光堰(しげみつせぎ)の復旧工事の一環で、河川敷や川の流れを元に戻す方針。1億5000万円を見込む復旧費は9月下旬の国の査定後に予算化、その後に着工して、田植えが本格化する前の来春の完成を目指すとしている。
 これに対し、白鳥湖周辺を元に戻すよう市に求めているアルプス白鳥の会の会田仁さん(57)=安曇野市穂高有明=は、「白鳥の飛来数の減少が心配。次のシーズンにも影響が出るかもしれない」と話している。
 白鳥湖には昨年秋から今春にかけ、ピーク時で約2400羽が飛来。初めて白鳥が確認された1984(昭和59)年以来で最多だった。
【写真説明】流れが変わった犀川の白鳥湖周辺は、河川敷内の駐車場に通じる道路も流失した


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