信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

土石に大半埋まる 大鹿の県天然記念物「安康露頭」
2006年8月12日(10:56)
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 7月の豪雨で大鹿村大河原の青木川の河床が土砂に埋まり、中央構造線を鮮明に観察できる場所として知られる県天然記念物「安康(あんこう)露頭」が一部しか見られなくなっていることが11日、分かった。村は川の流れなど今後の推移を見守ることにしている。
 村中央構造線博物館の河本和朗学芸員によると、青木川右岸にある安康露頭は幅16メートル、高さ約4メートルの大きさ。関東から西日本へ延びる日本最長の断層・中央構造線の露頭の中でも、断層の断面などを良く観察できる全国的に数少ない露頭だ。
 7月の豪雨により、青木川上流で発生した土石流が露頭を埋めるようにたい積。目視できる高さは約1・4メートルだけになってしまった。
 安康露頭は1961(昭和36)年の集中豪雨災害「三六災害」で露出した。その後、青木川の河床がこれだけ大きく変わったのは45年ぶりという。
 河本学芸員は「今後の川の流れ方で、また露出する可能性もあるので、しばらく見守りたい」と話している。
 中央構造線の東の赤石山脈側は緑色や黒色の岩、西の伊那山地側は赤茶や白色の岩からなり、その境界部分が中央構造線に当たる。2005年9月、同村鹿塩の「北川露頭」とともに県天然記念物に指定されている。
【写真説明】豪雨で河床が埋まり、一部しか見えなくなった県天然記念物の「安康露頭」(中央の赤茶と黒色の岩)=大鹿村大河原


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