辰野町のホタル名所、松尾峡にある「ほたる童謡公園」に注ぐ水路が、7月の豪雨で寸断されている。今季のホタルの羽化数は、例年の1割以下だった昨季の約5倍まで回復しただけに、住民の一部からは来季への影響を心配する声が上がっている。
寸断されたのは、公園内の「ホタル水路」に注ぐ伝兵衛水路。公園の約3キロ上流の天竜川から取水し、山の斜面を横切って公園に給水しているが、7月19日、山腹の崩落とともにコンクリート製水路も数カ所崩れ落ちた。このため、町は裏山の沢の水を公園に流している。
松尾峡のホタル保護に携わる同町宮木の勝野重美さん(76)は「ホタルの幼虫は、きれいな沢の水だけでは生きられない。栄養分に富む天竜川の水はなくてはならない」と話す。町は9日、天竜川からポンプでくみ上げた水も水路に流し始めた。伝兵衛水路は復旧のめどが立っていない。
住民からは「豪雨でホタルの幼虫が流されていないか」「水質が変わった影響はないか」などの声が上がっているが、町は「水路は一定の水量しか流れない設計で、ホタルが流されることはない。水質の変化も一時期で、ほとんど影響ない」としている。
町によると、今季の羽化数は4万7896匹。例年は十数万匹という。