信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

構造改良が必要 決壊の天竜川堤防 国交省 検討委設置
2006年8月 8日(09:56)
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 国土交通省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)は7日、7月の豪雨災害を踏まえ、「天竜川上流域豪雨災害対策検討委員会」を設置した。北沢秋司信大名誉教授(治水・砂防学)を座長に、上伊那郡箕輪町松島の天竜川右岸の堤防決壊などについて、原因解明や新しい堤防の工法などを検討する。
 委員は、災害、堤防設計などの専門家、大学教授ら7人で構成。この日は現場を調査した後、箕輪町内のホテルで非公開で初会合を開いた。
 決壊現場付近の天竜川は、流れが大きく左にカーブしており、北沢座長は「川が増水し、水が堤防の護岸に衝突する力が大きくなったのが一因」とした。ただ、曲流する個所はここだけではないため、「なぜあの場所が決壊したか、さらに分析が必要」と指摘。堤防の断面が完成時(1990年)と決壊当時でどう変わったかなど、詳しい資料の提出を同事務所に求めた。
 北沢座長はまた、新しく建設する堤防の構造は「決壊した堤防と同じにはならず、改良が必要」と述べた。同事務所は、遅くとも来年の梅雨時までに新堤防を完成させる方針で、構造や工法は、検討委が9月までに固める。
 堤防は7月19日午前に決壊し始め、決壊の長さは約160メートルに広がった。同事務所は同31日までに、決壊した堤防から約30メートル陸側に緊急堤防を造るなどの工事を終えている。
【写真説明】天竜川の堤防決壊現場を調査する北沢秋司・信大名誉教授(右)ら=上伊那郡箕輪町松島


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