信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

諏訪湖水の窒素量40倍 豪雨後 アオコ増える可能性
2006年8月 3日(09:35)
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 7月の豪雨災害の後、諏訪湖水の窒素量が豪雨前に比べて約40倍に増えたことが2日、信大山岳科学総合研究所山地水域環境保全学部門(諏訪市)の定期水質調査で分かった。窒素濃度の高い大量の泥水が流れ込んだためとみられる。同部門は、富栄養化によって湖を緑色に覆うアオコが増える可能性があると予測している。
 調査は豪雨前の7月11日と豪雨後の同27日に実施。1リットルの湖水に溶けた窒素量は11日が0・03ミリグラムだったのに対し、27日は1・19ミリグラムに急増した。同部門の宮原裕一助教授は「豪雨であふれ出た下水や、森林や農地に蓄えられていた窒素濃度の高い水が、河川を通じて諏訪湖に流れ込んだと考えられる」としている。
 宮原助教授によると、湖の透明度は豪雨で植物プランクトンが下流に流されて一時的に上がったが、今月1日時点の植物プランクトン量は、豪雨前の水準より少ないものの7月27日時点の約2倍に急増中だ。
 水中の窒素は植物プランクトンの栄養になっており、アオコの発生にかかわっている物質の1つ。水質浄化に取り組む県諏訪湖事務所は現在、農地から窒素が湖へ流れ込むのを防ぐ対策を試みている。豪雨で流れ込んだ大量のヨシも放置すると窒素を出すため、除去を急いでいる。
【写真説明】豪雨の後、水中の窒素量が飛躍的に増えている諏訪湖=諏訪市湖畔公園


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